■■■「M3GAN/ミーガン」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)
おもちゃ会社の技術開発員であるジェマは、ある日、両親を事故で亡くし孤児となったた姪のケイディを引き取る事となる。
ジェマはケイディの心の傷を癒すために、開発途中であった人間と見まがうほどの精巧な少女型のAIロボットである<M3GAN(ミーガン)>を彼女に与える。
ケイディはミーガンによって心の傷を癒され、またミーガン自身も人間と交流するためのAIの学習機能を深めていくが、ミーガンはジェマの出した『あらゆる出来事からケイディを守るように』という命令を忠実に実行するために暴走し、恐るべき事態へと発展していくのだった…
少女型AIロボットの暴走の恐怖を描いた、ブラムハウス製のSF風味のサスペンススリラー映画。
お話としては、『試作品のAIロボットに少女を守るように命令したところ、命令を拡大解釈したロボットが暴走し殺人ロボットへと成長してしまう』みたいな感じのストーリーのお話なのですが…
『AIが学習の結果、暴走して人間を襲うようになる』というのはSFホラーでは定番のプロットで、最近では「チャイルドプレイ(リブート版)」でも描かれていたテーマなのですが、本作はまさに『美少女ロボット版の「チャイルドプレイ」』みたいな作品という印象ですね。
本作の最大の魅力は、やはり殺人AIロボットである『ミーガン』の個性が際立っており、非常に魅力的に描かれているということ。
ミーガンが主人である少女を守るために学習を重ねるごとに、どんどん暴走して人間の倫理観を無視した『危険な存在』になっていくというプロセスも良く描かれてますし、『美少女で可愛いんだけどどこか不気味』という『不気味の谷』を地で行くようなミーガンのデザインも非常に秀逸。
また、ミーガンの『人間離れした動き』は、CGじゃなくてダンスコンテストで優勝した子役俳優が『人形っぽいマスク』を付けて演じているらしいのですが、ホントに『人間と思えないような派手なアクション』で暴れ回る姿は迫力があって、素直に感心させられてしまいました。
終盤のミーガンの『ちょっと引くレベルの高性能っぷり』や暴走具合も楽しいですし、とにかくミーガンの魅力的な姿を見るためだけにでも観る価値のある映画という印象。
また、単純な『AIの暴走』を描いた作品ではなく、『両親を事故で失った子供が家族の絆を取り戻していく』といった『生と死』や『家族』といったテーマも描いて、キチンと中身のある作品に仕上げているのも良く出来ています。
ただ惜しむらくは、非常に魅力的なキャラであるミーガンの『暴走』シーンが意外と少ないこと。
せっかくここまで魅力的なキャラを作り出しているんだから、もっと派手に暴走して人間を殺しまくったり大立ち回りを演じて欲しかったです。
あと、終盤になると『ホントに主人公の少女を守るために行動してるのかよ?』とツッコミを入れたくなるような部分が結構あったので、もうちょっと『ミーガンと主人公の少女の絆を感じさせるようなエピソード』があっても良かったかも?
総評としましては、なかなか良く出来た『佳作レベルのAIロボット暴走系サスペンススリラー映画』って感じですね。
ちょっと「チャイルドプレイ(リブート版)」と被る部分が多いのは残念ですが、本作はどちらかと言えば殺人ロボットである「ミーガン」の魅力を堪能するための映画ですので、予告とかで暴れ回る「ミーガン」の姿に魅力を感じたのであれば、観ておいて損は無い一本だと思います。
グロさもあまり強くないですしお話的にも非常に分かりやすい内容ですので、特に『カジュアルにホラーを楽しみたい人』にはオススメしやすい入門編的な作品ではないでしょうか?