■■■「マルチバース・アルマゲドン」■■■
(55点/モンスター)
2025年。
国際宇宙ステーションが正体不明の物体と衝突し、破壊されるという事件が発生。
その事件を皮きりに、コロンビア沖では巨大ピラニアが米軍艦を撃沈し、日本では巨大ヘビが地下鉄を襲撃。
更には、世界各地で巨大ワニや巨大ザメ、巨大ロボット等が出現し、大暴れを開始してしまう。
海軍の軍人であるマドリンとNASAの職員であるクインは、事件の当事者として事態の解明に取り組むが、同じ頃、連邦通信委員会の調査員のウィルソンとファーマーは、これらの異常な現象がB級映画の製作会社である『アサイラム社で製作された映画を模倣したもの』である事に気づき…
地球を狙う宇宙人の陰謀により『アサイラムの映画に出てきたモンスターや災害』が次々と地球を襲う…というモンスターパニック映画。
今までのアサイラム作品のモンスターたちが次々と人類に襲い掛かる…という、いわゆる『アサイラム版アベンジャーズ』みたいなお祭り企画的な作品ですね。
お祭り企画だけあって他のアサイラムのシリーズよりも気合が入っており、特撮とかにもいつもよりも予算がかかっていそうな雰囲気です。(といっても、やっぱりB級レベルの予算ではありますが…(笑))
次々と『奇想天外な災害』が襲い掛かるという展開やら、事件の謎を追っていく謎解きプロセスなんかも割と面白いですし、お話の『掴み』の部分は悪くない印象なのですが…
最初は景気良くモンスターが出現する割には、中盤あたりからモンスターや災害の頻度が下がってしまい、ちょっとダラダラした感じの展開になってしまうのは残念なところ。
大統領が避難して人類の命運を賭けた緊急会議を開催してる建物が、どう見ても物凄く安っぽい老朽化した公共施設っぽかったり、低予算パニックの定番である『ゾンビ化した人々』が主人公たちを襲ったりと、『モンスターのCGに予算をかけすぎて他の部分の予算が足りなかったんだな…』という裏事情が感じられてしまいます。(笑)
ただ、低予算ながらも要所要所で盛り上がる要素もそれなりにあって、夢の対決である『メガシャークvs2~6ヘッドジョーズ』とか、ラストで登場する『アサイラムモンスターズ合体キメラ』みたいなモンスターとか、バカバカしくて笑わせてくれるネタが仕込まれているのは良い感じ。
また前述のとおり、全体的に予算とか尺とかを含めて厳しそうな部分がところどころに見られるのは辛いところ。
見せ場となるシーンはそこそこ楽しいものの、モンスターも出てこないうえにパニック描写の無いダラダラとしたシーンも多いですし、ストーリーもかなり強引で全体的に無理がありすぎ…(宇宙人が『何故アライサムの映画を参考にしたのかとか』も良く分かりませんし…)
終盤の展開とか異様に駆け足なのに加えて、ラストも矢鱈と唐突で尻切れトンボな印象でしたし、『もうちょっとどうにかならんかったかなぁ?』というのが正直なところ。
せっかく、こういった『お祭り企画』の映画を作るのであれば、もっと予算もふんだんにかけて前後編の2本組ぐらいで製作を行って欲しかったところですよ…
(ぶっちゃけ、「シャークネード」の完結編とかの方が全然予算も多そうでハジけた内容てしたし…)
総評としましては、期待していた割には『ちょっと肩透かし感のあるアサイラムオールスターズ作品』という感じですかね?
もっと「アベンジャーズ」みたいに予算をかけて満を持した内容で作ってくれると期待していたので、正直なところ食い足りなさは感じざるを得ません。
まあ不満はあるものの、お祭り企画のネタとしてはそれなりに楽しめる内容ではありますので、自分のような『アサイラム作品大好き人間』であればとりあえずチェックしてみても損は無い一本だと思いますよ。