NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「江南ゾンビ」(40点/モンスター)

■■■「江南ゾンビ」■■■
(40点/モンスター)


 かつてテコンドー韓国代表の控え選手だったほどの実力を持つヒョンソクは、今はソウルの中心街である江南地区の小さな動画制作会社で働きながら、同僚のミンジョンに密かに思いを寄せながら慎ましやかな生活を送っていた。


 そんなある日、彼らの務めるオフィスビルの近くで、謎の病気に感染したと思われる男性が目撃された事を知るが、彼らが動画制作のために男性を撮影しようと向かおうとする最中、その男性は狂乱状態になりながら彼らのオフィスビルへと乱入。


 オフィスビルの人々に次々と襲い掛かり、男に噛まれた人たちもその男と同じように凶暴化して、次々と感染を広めていく。


 ヒョンソクたちは、一瞬にしてゾンビの巣窟と化したオフィスビルからなんとかして脱出しようと試みるが…

 


 韓国の中心街である江南地区のオフィスビルでゾンビによるパンデミックが発生し、ビルに閉じ込められた主人公たちがなんとかして脱出を図ろうとする…という、韓国製のゾンビものモンスターパニック映画。


 韓国の中心街を舞台としてて更には主人公がテコンドーの達人という設定があったりする辺りから、結構派手な感じの作品なのかと思いきや…むしろ『物凄く地味で見どころのないゾンビ映画という感じの作品です。


 お話としては、『韓国の江南地区のオフィスビルの中で謎のウイルスによるパンデミックが発生し、オフィスビルに閉じ込められてしまった主人公たちがなんとかして脱出を目指す』という、ほぼそれだけのストーリー。


 『謎のウイルス』に関しては明確な説明は無いですが、いわゆる狂犬病ウイルスの突然変異』みたいな感じの描かれ方をしており、噛まれた人間が次々と凶暴化していくといった感じのタイプ。


 ドーン・オブ・ザ・デッド28日後....」的な、感染する前よりも感染した後の方が元気になるという感染者タイプの『走るゾンビ』が出てくる感じの作品ですね。


 本作のゾンビは基本的に単なる『感染者』で死体な訳ではないので、感染しても身体が腐ったりはしておらず『ちょっと出血して黒目がちになる(黒のカラコンを入れてる)』って程度で、ほぼ普通の人間と見分けがつかないレベル。


 28日後....」のゾンビみたいに、ハチャメチャな運動神経で燃えながら走ってきたりはしないので、ビジュアル的にとにかく地味です。


 ただ特撮が地味なぶんだけあってかゾンビ役のキャストの人数は結構多くて、大量のゾンビ化した人間がオフィスビル内を押し寄せてくる様子は割と迫力があって悪くはない印象。


 また本作の最大の見せ場である、元テコンドーのチャンプである主人公がゾンビ相手に大立ち回りを繰り広げるシーンなのですが、ゾンビ化した人間が何故か身体能力が大幅に強化されて『テコンドーのチャンプの主人公と渡り合うようなアクションシーンを見せてくれる』のは、なかなか見ごたえがあって良い感じ。


 とまあ、ここまで書くと割と悪くない作品のように感じるのですが、さっきから再三言っているように『テコンドーのアクションシーン以外がとにかく地味』なんですよね。


 そもそも、ゾンビのパンデミックが始まるまでが割と長くて、主人公たちの会社で働くシーンで主人公と含む『主要キャラの掘り下げ』的なものが行われるのですが、このキャラの設定が物凄くどうでも良い内容でどうにもテンポが悪い。


 『身勝手なセクハラ社長』とか『守銭奴のビルのオーナー』とか個性的なキャラを登場させる割には、全員がたいした盛り上がりもなく勝手にゾンビ化するだけで、キャラの掘り下げた設定が殆ど本編に活かされないのは困りものです。


 またゾンビとの戦闘シーンに関しても、ゾンビ映画なので『残虐描写』がビックリするぐらい無いんですよ。


 主人公はテコンドーの達人とはいえ、素手やバットでゾンビを殴るだけですので、人体損壊みたいな描写は一切なし。
 またゾンビに噛まれた人間もすぐにゾンビになってしまうので、出血描写すら殆ど無くて、とにかく『クリーンなゾンビ映画という感じなんですよ。


 もしかしたら、子供向けに『残虐描写の一切ないゾンビ映画でも作る実験作品だったのかしら?』と疑いたくなるレベルで、一般的なゾンビ映画に見られる残虐描写みたいなに期待していると、一切楽しめない作品になっているので注意が必要です。
 (もしくは『地上波TV放映向け』か何かに、マイルドな描写で作られたドラマなのかも?)


 オチもゾンビ映画にありがちな『投げっぱなしオチ』ですし、どうにも面白さに欠けて物足りなさばかりの残る作品でしたよ。
 (あまりにも『ゾンビ化した人間』が誰も死なないので、もしかしたら最後に『実は治療薬が出来てみんな助かりました』みたいなオチでもあるのかと思って観てましたが、別にそういうオチという訳でも無かったぜ…)

 


 総評としましては、とにかく盛り上がりに欠ける『色んな意味で地味なゾンビ映画という感じの作品ですね。


 ぶっちゃけ、テンポも良くないうえに見どころがあまりにも少ない内容ですので、あまりオススメはしない作品というのが正直なところ。


 同じ韓国製のゾンビ映画なら新感染 ファイナル・エクスプレスとかの名作があるので、敢えて本作をオススメする理由は思いつきませんが、『残虐描写は苦手だけどゾンビ映画は観てみたい』という希少な趣味の持ち主の方が居れば、チェックしてみても良い作品かもしれませんよ。