■■■「PANDEMIC パンデミック」■■■
(50点/パニック)
感染者の脳を破壊し怪物化させるという未知のウイルスの感染拡大によって荒廃したアメリカ。
政府の『感染者を見捨て未感染者のみを救出する』という方針によって、街は大混乱に陥り暴徒のあふれかえる状態となっていた。
CDCの医師のローレンは、ロスアンゼルスのセントメリーズ高校に取り残された未感染者を救出するための任務に就く事となるが、そんな最中に自分の娘が非難に失敗し自宅に取り残されている事を知る。
襲い来る感染者と暴徒と化した住民を倒しながら救助に向かう彼女は、なんとかして他の未感染者と一緒に自分の娘を救い出すことが出来ないかと画策するが…
未知のウイルスの感染によって荒廃したアメリカで、ある医師の女性が隔離地域に取り残された自分の娘を救おうとするという、感染ものパニックホラー映画。
『感染者』(パンデミック)とは言ってますが、「28日後....」みたいな感染した人間が狂暴化して無差別に人を襲うようになるという設定の、いわゆるゾンビもの映画ですね。
微妙な事で定評のあるTSUTAYA先行ものの作品の一本なのですが、本作に関してもまあ『いつものTSUTAYA先行クオリティ』って感じの内容です。
お話としては、『謎のウィルスの感染拡大によって荒廃したアメリカで、一人の医師の女性が救助活動に乗じて自分の娘を救うために画策する』といった感じのストーリー。
まあいわゆるゾンビもののお約束の展開みたいな感じの内容ですけど、『完全にゾンビ化していない人間も、政府から見捨てられた事によって暴徒と化して襲ってくる』って辺りが他の作品との違いではあるのですが…
(もしかして、ゲームの「DIVISION」を意識してる?)
別に社会的な不安とかパニックがそこまで描かれている訳でもなくて、『暴徒と化した人間』も殆どのシーンが猪突猛進に走って襲い掛かってくるだけ(しかも主人公たちもなんの迷いもなくブチ殺す)なので、ぶっちゃけ普通のゾンビ映画とあんまり変わりません。
そういう設定なら、もう少し泥臭い人間ドラマ的なノリがあっても良かった気がします。
むしろドラマという点ではヒロイン側にはちょっとした秘密があって、それがサスペンス的な要素になっていたりするのが本作の個性となっていたりするのですが、そっちの方も『ちょっと意外な展開』ではあるものの、やってる事は『ゾンビだらけの街から生存者を救出して脱出する』って内容に変わりはないため、正直言って『だから何だよ?』って感じの設定で作品の面白さとして全く活かされていないのは困りもの。
ただまあ作品の個性となる設定があまり活かされていない事はさておき、単純にゾンビ映画として見るとしたら、お話的にも完成度的にもそこそこといった感じの内容ですね。
ゾンビの襲撃シーンや戦闘シーンもそれなりに多くて、残虐描写なんかもそこそこという感じ。
ただ襲撃シーンになると、何故か主人公たちの主観カメラ(防護服に取り付けられたカメラという設定)の映像になるため、画面が非常に見づらくて何が起こっているんだか判然としないシーンが多いのはどうにかして欲しかった。
迫力を出したくて主観映像にしてるのかもしれませんが、他のシーンは主観映像じゃないシーンも多いので、ハッキリ言って『別にこの主観映像は要らなかったんじゃ?』ってのが正直なところ。(低予算映画によくある『主観映像じゃないとごまかせないほどチャチな特撮』って訳でも無いですし…)
戦闘シーンも『暴徒と化した人』と『ゾンビ状態の人』が混ざっているせいで、微妙に納得いかない展開になっているシーンの方が多い(主人公たちが理性の残っているただの人間相手にそこまで暴力的になれるか?ってのも疑問だし、襲撃側も仲間が次々と殺されたら普通はひるんで逃げていくだろって感じ)ですし、中途半端に個性を盛り込むよりもシンプルな設定の方が良かった気がする部分が多いです。
オチも、これ『この後って結局どうにもならないんじゃ?』って感じの頭をひねってしまうような終わり方ですし、全体的に何か蛇足的な部分ばかり目につく作品でしたよ…
総評としましては、『ゾンビ映画としての完成度は並って感じなんだけどお話的に微妙な印象の残る映画』って感じの作品ですね。
そこまで酷い出来でもないんだけど、誉める部分もあんまり無い(むしろ不満が目につく)という『いつものTSUTAYA先行クオリティ』って感じ…
まあ気になっているのなら、何かのついでにチェックしてみるのも良いかもしれませんが、正直言って個人的にはあんまり積極的にはオススメしない感じの一本でしたよ。