NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ミート・オブ・ザ・デッド」(45点/ゾンビ映画)

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■■■「ミート・オブ・ザ・デッド」■■■
ゾンビ映画/45点)

 アイルランドの片田舎を車で旅行していたマーティンとヘレナの2人は、人気の無い道路で誤って一人の男性を車で轢いてしまう。

 轢かれた男性は既に息をしておらず、ひとまず事故の報告をする為に男性を近所の民家に運び込もうと車に乗せた彼らだったが、死んでいた筈の男性は唐突に動き出し、男性に襲われたマーティンは歩けない程の重傷を負ってしまう。

 ヘレナは助けを求める為に民家へと徒歩で向うが、民家には誰一人居らず途方に暮れていた彼女の元に唐突に一人の人影が襲い掛かる。
 それは、今しがた動けない程の重傷を負って、既に生ける屍と化したマーティンだった…


 B級~Z級のホラーでお馴染みのアルバトロス・コアの配給による、アイルランド製のゾンビ映画

 「ミート・オブ・ザ・デッド」といっても、『ボーイ・ミーツ・ガール』みたいな出会いの『ミート』では無くて、ミートソースとかの肉の方の『ミート』
 という事で、世にも稀有な『牛のゾンビ』が登場する、ちょっと異色のゾンビ映画です。

 って言うか、『牛ゾンビ』って何ぞや!?とか思う訳ですが、アイルランド(英国)と言えばいわゆるBSE(狂牛病)の本場で、このBSEの突然変異により牛が次々とゾンビ化して人間を襲い、襲われた人間が更にゾンビ化するという事態が発生したというような設定で…
 今、日本でも話題になっている『食品の安全性』に一石を投じる、深いテーマ性を持った社会派のホラー映画……なんて言う様な大層な物ではなく、むしろゴア志向が強めでB級路線突っ走りの悪趣味映画です。

 しかし『牛ゾンビ』なんて設定だけ聞くと、とんでもないバカ映画に思えて面白そうに感じられるのですが、ただ、この『牛ゾンビ』がいかんせん出番が少なくて、暗闇の中からヌッと2~3回顔を出す程度。

 こんな面白い設定を使っているのにソレが全く活かされておらず、内容的にごく普通のゾンビ映画になってしまっているのはハッキリ言って勿体無い。

 もっと、『牛の大群が人間に襲い掛かって貪り食う』みたいな、突き抜けたシチュエーションとかシーンでもあれば、インパクト抜群の映画になれたかもしれないのに…
 まあ、全体的に特撮もチャチで非常にチープな印象を受ける映画ですので、そこまでやる程の予算が無かったんだろうなぁ…と思うことしきりです。

 映画の内容の方は、ストーリーらしいストーリーの存在しない、いわゆる大量のゾンビに追っかけられてひたすら逃げ回る…ってだけの、いかにもな感じのB級ホラー的なストーリーで、陸の孤島的な閉鎖環境で主人公たちが突然現れたゾンビに追い掛け回される序盤はナイト・オブ・ザ・リビングデッド風。
 ゴア描写テンコ盛りで、ゾンビと戦いながら逃げ回る中盤以降のシーンはサンゲリア風。

 また、ステディカムを使って地面ギリギリのアングルを這いながらカメラが主人公達に迫ってくるという死霊のはらわた風の演出のオマージュなんかもあり、他の演出も含めて有名ゾンビ映画をリスペクトするみたいな意図があって作られているのだとは思うのですが…

 それらの演出が効果的に使われているか?と言われるとどうにも微妙で、やたらと継ぎはぎ的な印象を受けるのと、いかんせんどれも昔の映画なので全体的に古臭い印象しか抱けないのが微妙な所でしょう。
 特に特撮がゴア描写テンコ盛りの割りに、やたらと安っぽくてチープな事が古臭い印象に拍車をかけている感じです。

 観てて特に辛かったのが後半のパートで、夜の闇のやたらと真っ暗な中を逃げるシーンで、画面が物凄く暗いうえに事件が割と散発的にしか起こらないので、深夜に観てたせいもあってハッキリ言って中盤以降はもう眠くて眠くて…

 総評としましては、まあ何といいますか…全体的に古臭い印象を受ける地味なB級ホラー映画です。

 そういった、80年代の『内容の無いゴア描写テンコ盛りゾンビ映画』的なノリが好きならば、それなりに楽しめるとは思いますが、個人的には『ちょっと今更かなぁ?』と感じてしまうような部分も多かったので、ハッキリ言って微妙かなぁ?

 まあゾンビ映画としては及第点だと思いますし、今時敢えてそういうノリの映画を作ったのだと評価する事も出来ますが、やはり『牛ゾンビ』なんて突飛な設定が用意されて居ながら、それが全く活かされていないのが惜しいと思いますので、もうちょっとどこか突き抜けた部分があれば…と思う一本でした。