■■■「イントゥ・ザ・サン」■■■
(犯罪アクション/55点)
東京の街頭で、不法滞在の外国人の排斥の支持を声高に演説する政治家が、演説の直後に何者かに暗殺される。
CIAの東京支部は、この事件の背後に日本のヤクザと手を組んだ外国人グループの動きがあると推測。
事件の概要を調査するために、在日のベテランエージェントであるトラヴィスに、FBIと協力して事件の捜査を行う事を依頼する。
果たして、事件の捜査が進むにつれて浮かび上がって来たのは、外国人と手を組んで世界の麻薬市場を席巻しようと目論む若手のヤクザのグループと、義理と人情を重んじる旧来からの日本のヤクザのグループとの対立の姿だった…
『無敵の柔術使い』ことスティーブン・セガールが製作&主演で、日本のヤクザを題材としたノワールアクション映画。
外人の撮ったヤクザ映画というと「ブラックレイン」とかを思い出しますが、まあこの映画も言ってしまえば『セガール版ブラックレイン』みたいな感じの内容。
ただ、セガール主演という事で良くも悪くもB級テイストが強くて、ちょっとだけ怪しげです。
セガールというと、映画ファンの間では『日本語ペラペラ(しかも関西弁)』といった事で有名な訳ですが、今回は日本が舞台という事もあって随所に怪しげな日本語が出まくりで…
あの顔で「チョット待ッテテネ」、「飲んだら金払エ!!」、「コレ、今晩使いマスよ、人斬リマスよホラ」とかってカタコトのセリフを連発されると、シリアスなシーンでも(というかシリアスなシーンだと尚更)一瞬にして爆笑ムービーに早変わりしてしまいます。
といっても、映画の内容の方は割とごく普通のアクション映画というかヤクザ映画といったイメージで、流石に日本に詳しいセガールが撮ってるだけあって大きな勘違いも無く堅調な仕上がり。
(いや、微妙な勘違いはいっぱいあるけど…)
ただストーリーに関しては、突然、セガールがヤクザの事務所に日本刀を持って殴りこみをかけて組員をメッタ斬りにしたりと、『オイオイ、いくらCIAでもそれはやり過ぎだろう』とか思ったりとか…
重要キャラっぽく登場したセガールの相棒のFBIの局員は、物語の大勢に何の関わりも無い噛ませ犬だったりとか突っ込み所も多いです。
まあでもソコはソレ、セガールの映画ですから…(笑)
セガールの映画というとやっぱりメインはアクションシーンで、今回はお馴染みの無敵の柔術使いっぷりに加えて、日本刀による殺陣のシーンも見せて芸達者ぶりを披露してくれるのですが、いかんせん全体に対するアクションシーンの比率は少な目なのが残念な所。
本作はむしろ、アクションよりも『日本の情景や文化を積極的に伝えようとした』という意図は良く実現されており、ここまで日本の下町やヤクザや寺院といった文化をしっかり撮っているのは、恐らくハリウッド映画史上でも初じゃないでしょうか?
あと割とどうでもいい事なんですが、若いヤクザの連中が事務所で居るときに、やたらとずっと怪獣映画みたいのを観てるので『何でだろう?』と思っていたのですが、観てたのが「ガメラ 大怪獣空中決戦」だと気付いて妙に納得しました。
まあ確かに、あの映画はセガールの娘が主演でしたからね…
総評としましては、映画の内容的には可も不可も無い感じのノワールアクションといった感じなのですが、濃い目の『セガール分』はたっぷり含まれた作品なので、セガールのファンならば10点プラスといった感じでしょう。
特に、『最近、セガール分が不足しがち』だと言う方にはオススメの一本ですので、コレで胸焼けがするぐらいのセガール分をたっぷりと補給してみて下さい。