NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「プライマー」(60点/SF風サスペンス)

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■■■「プライマー」■■■
(SF風サスペンス/60点)

 アメリカ郊外の平凡な田舎街に暮らすアマチュア物理学者のアーロンとエイブは、4人の仲間と共にガレージの中でマニア向けの実験装置を作って生計を立ててつつ、つつましやかに暮らしていた。

 しかしそんなある日、『超伝導を利用する事で重力を制御できないか』というエイブの思い付きから、彼らは重力を制御する為の実験装置を作り出し、その実験を開始する事になる。
 もし、実験に成功すればノーベル賞も夢ではない実験であったが、果たして実験の結果、彼らは実験装置の内部で『通常の数十倍の速さで時間が経過する』という奇妙な現象が発生している事を発見し、自分たちが一種の『タイムマシン』を作り出してしまった事を知る。

 彼らは実験結果を元に、実験装置を改造する事で過去へと時間を遡る事の可能なタイムマシンを製作しようと画策するが…


 数多くの先鋭的な映画作品を排出した事で知られるサンダンス映画祭』にて絶賛されたという、ニューウェイブSF風の設定のタイムパラドックスを題材としたサスペンス映画。

 なんと言うかこの映画を観て最初に感じた事が、とにかく非常に難解な映画だという事。

 難解といっても、芸術家肌の映画監督が撮った前衛的で難解な作品ではなく、もっと論理的に難解な作品で…

 何がそんなに難解かって、タイムマシンを使ったタイムパラドックスをモチーフとしたストーリー展開のお陰で、主人公達が現在と過去との時間軸を行ったり来たりしつつ、『同一の時間軸上に複数の同一人物が存在する』状態で、複数の事象が並行に進行しつつストーリーが進んで行き、随所に思考パズル的なトリックが仕組まれている事もあって、とにもかくにもストーリーの展開が複雑なのです。

 これがまあ、小説やらアドベンチャーゲームやらのように自分のペースで読み進められたり、要所要所でTIPSでも確認しながら状況を把握しつつ観れるのなら良いのですが、映画というメディアの特性上、受動的に情報を与えられる情況で、この複雑な話を読み解くのはとにかく難しいです。

 ちなみに私は、この映画を一回観ただけではサッパリ意味が分からずに、観終わった後に再度重要な要所要所を見直して確認したところで、ようやく大まかな話の流れが理解出来ましたよ…。

 本気でこの話を理解しようとしたら、『各人物がどの時間軸上で何をしていた』という事を確認する為のタイムチャートでも描かないと難しいかもしれませんね。

 ただ、とにかく難解だという壁を乗り越えれば映画そのものはなかなか面白い作品で、時間の流れを題材とした論理的なトリックは非常に見事。
 論理を利用した思考パズルとかを読み解くのが好きな人ならば、なかなかハマる事が出来る作品だと思います。

 総評としましては、視聴者がこの『ストーリーが難解』という壁を乗り越えられるかに全てがかかっているような作品だと思います。
 とにかく敷居が高い上に、1回観ただけでは意味が良く分からないと思うので、本作を楽しむ為には、ストーリーを読み解く為に頭の中を整理しつつもう一回見直すぐらいの勢いが必要です。

 『映画なんかはエンターテイメントなんだからサクっと楽しめれば良い』というタイプの人には向かない作品ですが、思考パズルとかが好きな人には結構オススメ出来る映画だと思いますので、そういうノリが好きな人ならば是非…といった所でしょう。

 何にせよ、頭が疲れてない時に観る事をオススメしますよ…かなり真剣に頭を使わないと絶対に理解不能な映画ですので…

 余談ながらギャルゲーとかが好きな人に説明するならば、難解な事で有名なKIDのNever7とかEver17とかのノリに近い作品ですので、ああいうノリが好きな人ならば結構楽しめると思いますよって、興味があったら観てみても良いかもしれません。