■■■「プレデターX」■■■
(モンスター/10点:地雷)
白人嫌いの黒人であるドニーは、ある日、生まれて以来音沙汰がなかった、自分の生みの親である母親が死亡して、唐突に遺産である建物が自分の物として相続されることとなった事を手紙で知らされる。
彼は相続手続きの為に、母親が生前にカリフォルニア州の片田舎のホワイトロックス・バレーという町へと向かうが、実は彼にはマッコイと名乗る白人男性の兄弟が居り、建物は二人に相続されるという事を知る。
初対面であり肌の色も違うその人物が自分の兄弟だとはにわかには信じ難い2人は、遺産を自分一人のものとしようと激しく対立しあうが、2人は考古学者であった母親の即席を辿るうちに、この片田舎の町に隠された古代の遺跡にまつわる驚くべき秘密がある事を知る…
B級映画マニアの私としましては、こういうタイプのクズ映画は見慣れているのですが、かく言う私でも、なんというか久々の『うわっ、やっちゃった!!』って感じの映画です。
いままで、「プレデター」とか「エイリアン」のパクりタイトルで、「エイリアンプレデター」とか「エイリアンX」とかってパチものの邦題が付いた映画があった気がしますが、今回は「プレデターX」。
もちろん、本家の「プレデター」とは1mmだって関係の無い内容です。
タイトルやパッケージを観ると、いわゆる宇宙から来た怪物が大暴れするモンスター映画かと思いますが、その実態は…
うーん? 兄弟喧嘩映画?
パッケージに描かれているような怪物も確かに登場する事はするんですが、なんと言うかとにかく怪物の登場シーンが少なく、怪物が出てくるのは映画本編中の全シーンを全部合わせても10分以下。
モンスター映画で怪物が登場しないのに、どんなストーリーが展開されてるかと言うと、その間は90分間ひたすら兄弟でいがみ合ってるだけ。
一応、最初のストーリーでも触れたように、母親が調査していた遺跡の謎みたいなのも出てくる訳ですが、2人がひたすらいがみ合ってるので全く謎解きなんかは進む訳もなく…
その間に、街の人達が何か陰謀っぽいものをめぐらせているっぽいんですが、これまた説明不足な上にキャラの書き込みが下手くそで、最後まで観ても何をやってるんだかどんな陰謀を巡らせてるんだかサッパリ分かりません。
いがみ合う兄弟に対して、町の住民で物語のキーマンとおぼしき『家庭内暴力を受けている少年』が登場して2人と仲良くなるので、てっきりこの子供が2人の仲を取り持つキャラになるとかって心温まる展開が待ってるのかと思ってたら…
ラストで『実は怪物の正体はこの少年の変身した姿でした』という衝撃の事実が!!
いや、確かに意外な展開かもしれないけど脈絡無さすぎだから!!
っていうか、そのキャラ設定は絶対に変だろう!! 心温まらねぇよ!!
2人がひたすらいがみ合うばっかりで、物語が全く前に進まないのでどうなるんだろう?と思ってたら、何の脈絡もなく母親の幽霊が「スターウォーズ」の立体映像風に登場して、2人を説教して無理矢理話を進めさせるし…
ラストもメチャメチャご都合主義な展開な癖に、『だから結局何が言いたいんだよ!?』って言うようなオチだし…
この映画に相応しい四字熟語を当てはめるとすれば『支離滅裂』で決まりです。
ホントに何がやりたいんだか、サッパリ分かりません。
ちなみに、何でもこの映画、フランシス・コッポラの甥(ニコラス・ケイジの従兄らしい)だか誰かが監督して撮ってるらしいんですが…
家系と才能とは関係ないもんなんだなぁ…とか真剣に思いましたよ。
怪物の造型とかJoJoのマジシャンズレッドみたいなデザインは嫌いじゃ無いんですが、特撮レベルとかに関しては…まあ、うにゃむにゃ……
総評としましては、正真正銘のクズ映画ですので、こんな映画の鑑賞に100分も時間を使うのは、ハッキリ言って時間の無駄。
ツマんないシーンを早送りしながら観ようにも、そんな事したら早送りしないで良いシーンが10分ぐらいしか無い事になるので、この世の娯楽がこの映画以外存在しないような状況でも無い限りは観ないでも良いでしょう。
他のパクリ映画に類似タイトルが多いので、うっかり間違えて借りない用に注意…も何も、他のタイトルも大概アレな映画だし、基本的に全部観なくて良いようなタイトルばっかなんで、注意する間でも無いですか?