■■■「ギャラクシーエンジェルII 絶対領域の扉」■■■
【総評:6点(10段階評価)】
ギャルゲーファンならずとも、アニメ好きなら誰でも聞いた事ぐらいはあるであろう、ブロッコリーの看板タイトルである「ギャラクシーエンジェル」(以下:GA)の新シリーズ1作目に当たる作品。
前作はトランスバール皇国の近衛部隊である「ムーンエンジェル隊」と、その指揮官であるタクト・マイヤーズが主人公でしたが、本作は舞台を並行世界であるNOUEに置き換えて、NOUE版のエンジェル隊である「ルーンエンジェル隊」と、その隊長代理に任命されたカズヤ・シラナミが主人公。
主役クラスのキャラが総入れ替えになる事で、ストーリー的には一種『仕切りなおし』な状態になっており、3部作だった前作をプレイしていないユーザにも遊びやすくはなって居ますが、話の内容的には前作と思いっきり繋がった形になっているので、やっぱ旧シリーズをやっておいた方が無難かな?
新シリーズだけやったら、レスターとかみたいに『アニメ版に登場しない主要キャラ』は何者なのかサッパリ分からないだろうし、ノアとかみたいに名前だけは出てくるのに全然出番が無いキャラも居るし…
旧シリーズとの最大の違いは、SLGパートに追加された「シューティングモード」の存在。
このシューティングモードの主人公がやたらと強くて、またエンジェル隊そのものの戦闘力も旧シリーズに比べると全体的に底上げされて、前作では割と重要なフィーチャーだった『好感度による能力補正効果』とか全然気にしないでも勝てるようになっており、もともと難しいゲームでも無かったものの、本作は『簡単すぎて負ける気がしない』程に戦略性が存在しなくなっているのは困りもの。
以前まではPC版がメインだったのに対し、本作からはメインがPS2へと移ってしまった事もあって難易度の引き下げを行ったのかもしれませんが、余りにも歯ごたえが無さ過ぎてSLGパートは正直言って退屈です。
ストーリーに関しては、シリーズ3部作が完結した前作と比較するのは酷かもしれませんが、やはり若干盛り上がりに欠ける気がしました。
本作もラスト付近の展開とかは相当熱いのですが、何だろう?…今回のシナリオは『決定的なピンチ』というか危機感がイマイチ感じられ無い気が…端的に言うと『逆境が足りない』のかも?
キャラクターに関しても、新エンジェル隊の面々はどうにもビジュアル的にもキャラの個性的にも地味な印象を受けるのは辛い所。
まあ、前作の旧エンジェル隊の面々の個性が『突き抜け過ぎてた』って話もあるのでしょうが、各キャラの個別シナリオもどうにも地味な展開が多く、アニスとかリリィのシナリオなんかホントに『どうでもいい話』な事もあってハッキリ言って印象に残りません。
メインシナリオの展開もあってか、ラスト付近なんかは『旧エンジェル隊に完全にキャラが食われてしまってる』気がしたのは私だけでしょうか?
あとは、各キャラに関する雑感なんか…
■アプリコット・桜葉
前作のヒロインであるミルフィーユ・桜葉の妹。
『髪ピンクで破滅的な天然ボケと強運の持ち主』という突き抜けた設定の姉に対して、『髪がオレンジでマジメで優等生タイプ』の妹ってのは、ビジュアル的にも個性的にもハッキリ言って地味。
メインヒロインなのに、どうにも印象が薄いキャラです。
搭乗する紋章機の「クロスキャリバー」は、前作の「ラッキースター」の該当する機体で汎用性が高くて使い易いです。
■リリィ・C・シャーベット
ゲゲゲの鬼太郎みたいな髪型のお姉さん風キャラ。
真面目すぎて融通が効かない士官タイプなんだけど、『マジメ過ぎる故にどこか感覚がズレてる』という天然ボケキャラ。
個性付けは面白いんだけど、登場するタイミングが『ストーリーも後半にかかってから』と遅くて出番が少ないのと、外見的な特徴が地味な事もあって、どうにも影が薄くて割を食ってるというちょっと可哀そうなキャラ。
紋章機の「イーグルゲイザー」は前作の「シャープシューター」に該当する機体で、旋回半径が大きくて微妙に使い難いかも?
■ナノナノ・プディング
ロストテクノロジーの遺跡で発見されたナノマシン集合体のアンドロイドで、自分を発見したヴァニラ・Hを母親と慕っている。
いわゆるお子様キャラでメンバーのムードメーカー的な存在で、お笑い担当…かと思いきや、シナリオは全キャラで一番シリアス。
個人的には、シナリオも含めて本作で一番好きなキャラです。
でも、ナノナノの『にゃははははは!』という笑いは、どことなくヒステリックな感じで怖い気がするのは俺だけ?
紋章機の「ファーストエイダー」は、前作の「ハーヴェスター」に該当する機体ですが、攻撃力も高くて非常に使いやすいです。
■カルーア(テキーラ)・マジョラム
NOUEの公認A級魔導士で、天然ボケタイプのお姉さんキャラクター…かと思いきや、アルコールを摂取する事でセクシーダイナマイツな「テキーラ」というもう一つの人格の変身するという二重人格キャラ。
新エンジェル隊の中では最もキャラが立っている上に、シナリオ的にも色んな意味で優遇されており、中の人(平野綾)の人気もあって最も人気が出そうなキャラクターです。
紋章機の「スペルキャスター」は、前作の「トリックマスター」に該当する機体ですが、スピードが遅い代わりに若干重武装な感じかな?
■アニス・アジート
トレジャーハンターでワイルドでボーイッシュな性格…を通り越して、オヤジのような性格。
いわゆる『お笑い担当』でシナリオも最後までお笑い的展開。
立ち位置的には前作の蘭花の位置なんだろうけど個性も外見も明らかに負けてるし、なんとも人気が出無さそうなキャラだよなぁ…
紋章機の「レリックレイダー」は、前作の「カンフーファイター」に該当する高速型機体。
総評としましては、シリーズ物という事でどうしても前作と比べてしまう部分が多くなってしまうのですが、シナリオの盛り上がり具合につけ、キャラクターにつけ、どうにも前シリーズよりもイマイチぱっとしないなぁ…と感じてしまう部分が多いのは辛い所。
特にキャラデザの弱さは致命的で、秋に放映されるアニメ版の出来がよっぽど良くない限りは、前シリーズのようなブレイクは難しいんじゃないかと…
ゲームシステムの簡素化されてしまった点も、個人的にはちょっと微妙な感じですが、まあ新シリーズスタートという事から『新規ユーザの獲得へ向けての改善』とも取れる訳ですが…
その割には、シナリオとかは一部で『前シリーズを知らない人は置いてきぼり』みたいな部分もあるので、それはどうなんだろう?と思わなくも…
と、不満点ばかりが先に立つような評価になってしまいましたが、ゲーム全体の完成度としては総じて良く出来ていると思います。
実際の話、普通のギャルゲーなんかとは『一線を隔した完成度』のゲームではありますし、元々は「サクラ大戦」のパクリっぽい内容とは言いつつも本家が鳴かず飛ばずの今となっては、この手の『製作に異様に気合の入ったギャルゲー』ってのは他には無い存在ですので、ギャルゲー好きな人で未体験者はこのノリを体験する為に一度はプレイしておいて欲しい作品ではあるでしょう。
前作からのファンの人は、まあ<Font Size=3 Color="L