■■■「エミリーローズ」■■■
(法廷ホラーサスペンス(?)/70点)
18歳の女子大生であるエミリー・ローズは、ある日『自分の中に邪悪な何者かが入り込んだ』と感じるようになり、教会に相談し教区の神父であるムーア神父による『悪魔祓い(エクソシズム)』を試みる。
しかし彼女は、神父の献身的な努力に関わらず悪魔祓いの儀式の最中に過労により衰弱死をしてしまい、悪魔祓いを行っていたムーア神父は検察側より『過失致死罪』で起訴される事となってしまう…
敏腕弁護士であるエリンは、話題づくりと出世の為にこの異例の起訴事件の弁護を引き受ける事となるが、弁護される神父の要望は『自分の量刑を軽くする事』では無く『悪魔の実在が証明される事』という意外な物だった…
アメリカで実際にあったという、『悪魔祓い事件』を扱った裁判をモチーフとした、オカルト風テイストの法廷サスペンスドラマ。
本作の公開前の予告では、あたかも「エクソシスト」風の『悪魔祓い』を扱ったホラー映画のような描かれ方をしていましたが、実際には本編の半分以上が法廷でのシーンというような感じのお話で、ホラーというよりも『法廷サスペンス』といった色合いの強い作品です。
だからといって、『ホラーやオカルト映画が好きな人が観たら、期待外れな内容か?』と言うとさもありなん。
ノリ的には、TVの『オカルト特番の再現フィルム』を豪華にしたような内容なんですが、悪魔祓いのシーンなんかもお金をかけてしっかりと作られた迫力と見応えのある完成度に仕上がっており、その手の番組のノリが好きな人ならば相当楽しめる映画になっているんでは無いかと思います。
裁判が進行するに従って徐々に意外な真実が明らかになって行く…というサスペンスのノリや、『陪審員制』という日本には無い裁判のシステムでの駆け引きの見せ方なんかも面白いですし、オチに関してはネタバレになる為に内容に関しては触れませんが、観る人間の考え方によって色々な解釈の出来るという、ちょっと『考えさせるオチ』になっているのもなかなかに上手い観せ方ではないかと…
しかし、もし日本で同様の事件があったとしても、そもそもマトモに裁判で取り扱ってくれそうに無いような事件ですが、こういうのが裁判でマジメに争われてしまう辺りに、やはり宗教観の違いを感じますねぇ。
でも実際問題として『悪魔憑きは存在するのか?』と問われると、『否定する証拠』と同じぐらいに『肯定する証拠』も存在するため、なんとも難しい問題ではありますね…
『科学的ではない』というのを否定する根拠として挙げる人は多いでしょうが、それは「科学」というのが『機械による観測結果』をバイブルとして信仰する宗教に過ぎない…というのを分かってないだけですし…
とまあ、話が横道に逸れてしまいましたが…
総評としましては、『ホラーじゃない』という前評判を聞いていたのでちょっと不安だったのですが、そんな不安を払拭するだけの完成度で、オカルトものや法廷サスペンスが好きな人ならごく普通に楽しむ事が出来るという良質のサスペンスホラーに仕上がっていると思います。
特に海外のワイドショーやらバラエティやらでお馴染みの、実話の『再現フィルム』的なノリが好きな人ならば相当に楽しめる作品だと思いますので、そういったノリの作品が好きならば是非とも…
個人的には「世界まる見え!テレビ特捜部」の豪華版みたいなノリで、十分に楽しむ事が出来た作品でした。