NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「プロジェクト・グリズリー」(判定不能/ドキュメンタリー(?))

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■■■「プロジェクト・グリズリー」■■■
(判定不能/ドキュメンタリー(?))

 カナダのオンタリオ州でスクラップ業を営むトロイ・J・ハートビスは、ある日のハンティングの最中に巨大なグリズリーベア(ハイイログマ)に襲われる。

 グリズリーの猛烈なタックルを受けた彼は地面へと押し倒され、銃も取り落としてまさに万事休すに思えたが…グリズリーは何故かそのまま背を向けて立ち去って行き、彼は九死に一生を得る。
 生物学者に聞いても、グリズリーが何故に獲物を目の前にしてそのような行動を取ったのかは首を捻るばかり…。

 この体験から運命的な出会いを感じた彼は、グリズリー再び触れ合い、グリズリーが彼に何を伝えようとしたのかを知る為に『対熊スーツ』の開発に着手したのだった…


 グリズリーとの出会いに運命的な物を(勝手に)感じ、巨大なグリズリーと対等に触れあう為の『対熊スーツ』の開発に半生を捧げたという、ある意味で非常に『男前』な一人の男の半生を描いたという、Q・タランティーノ監督も大絶賛の変人ドキュメンタリー。

 サメ等の危険な魚類を撮影する際に、鋭いサメの歯から身を守る為にウェットスーツに重ねて着る『鎖かたびら』のような『シャークスーツ』という物がありますが、彼が作ろうとしているのは、まさにその対熊版『グリズリースーツ』とでも言うような物。

 サメの場合は、基本的にその鋭い歯から噛まれても平気なように身を守れれば良い訳ですが、彼が身を守らないとならない相手は体重450kg以上にもなるという巨大なグリズリー。
 (※良くないです。シャークスーツを着てても、巨大なホオジロザメとかに噛まれたら内臓破裂とかで普通に死ねます。)

 生物学者によれば、グリズリーの突進力は150kgの丸太を12mの高さから振り下ろすほどの衝撃力だと言われています。

 これに耐える為に、本業のスクラップの鋼材を元に独自に開発した「アメフトのプロテクター」を改造したような「マーク1」から始まって、まるでロボコップ」のような外見の「マーク5」までを作り、実地試験と称して何度も『崖から転がり落ちたり』『時速40kmで走るトラックに跳ねられてみたり』する姿は壮絶すぎるんだけど、『何でそこまで体をはって試すんだよ…』と思うぐらいに『余りにも壮絶』なので逆に笑えてしまいまうという、無茶苦茶なチャレンジャーっぷり。

 そして、総額150万ドルを超える資金をかけて遂に完成した、まるで宇宙か深海探査で用いる『極限環境スーツ』のような概観の「マーク6」は、実際に『大の男達によって12mの高さに持ち上げられた150kgの丸太の直撃』を受けても中の人は傷一つ負わずに、『ショットガン』や『アーチェリーの強弓による射撃』にも耐え、『燃え盛る炎の中でも平気で活動出来る』という驚異的な堅牢性を備えた優れモノ!!

 …っていうか、別に『熊が火を吐いて襲ってくる訳でもないのに、炎の中で活動できる意味があるのか!?』とかってヤボなツッコミはしてはなりません!!

 この「マーク6」のスーツを用いて、彼は遂に野生のグリズリーと接触する事を決意する訳ですが…

 しかし、この「マーク6」のスーツは堅牢性を追求する余りに非常に重い重量があり、運搬するのにもヘリか3頭の馬が必要で、自分一人では着る事もままならないという難物で…
 更に、関節の自由度が皆無のため不整地の踏破能力極めて低く、平地以外では満足に歩くことも出来ず、ぬかるみにハマると自力では脱出できないという有様。

 そんなスーツを着て、険しい山奥の自然公園内に棲息するグリズリーに会いに行っても、どのような結果になるかは火を見るより明らか。
 っていうか、そんなもん『体を張って150kgの丸太をブチ当ててみる実験』をする前に気付けよ!! とか思う訳ですが…

 そんな訳で今回の失敗を教訓として、彼は今度は堅牢性に柔軟性を兼ね備えた「グリズリースーツ・マーク7」の開発に余念が無いとか…

 ちなみに彼は、このドキュメンタリーフィルムが大ウケした事から今ではスッカリ有名人となって、98年にはイグノーベル賞(※日常生活に全く貢献しない『微妙な発明』に送られる賞)まで受賞したんだとか…

 そんな訳で本作も、『どんな事でも本気で頑張って続ければ、いつか人に認められる日が来る』という、ある意味の教訓にはなってるかもしれませんしね。
 まあ、『どんな風に認められるのか』はさて置くとしてですが…。

 総評としましては、彼の半生を賭けた壮絶なまでの馬鹿っぷり(←誉め言葉)は、ある意味で観る価値はあると思うので、『お馬鹿系のドキュメンタリー』のノリが好きならば、とりあえず観ておいても損は無いのではないでしょうか?

 Jackassとかの、お馬鹿な事に真剣に体を張るようなネタが好きならば是非。