■■■「ステイ」■■■
(55点/サイコサスペンス)
精神科医のサムは、ある日、病気で休養する事となった他の医師の代理で一人の神経症の青年の治療を担当する事になる。
青年の名前はヘンリーと言い、20歳の美術大学生で繊細そうでどこか神秘的な雰囲気を持った青年であった。
サムはヘンリーの診療を続けるうちに、彼が午後から降る予定の雹の事や自分の過去を言い当てたりするという奇妙な現象を体験し…
そしてヘンリーは最後に、自分の21歳の誕生日である3日後の『土曜日の深夜に自殺をする』と言い残して、サムの前から姿をくらませてしまう。
サムはなんとかヘンリーを救おうと、彼の知人や過去を知る人間を当たりながら彼の行方を捜していくが…
ユアン・マクレガーやらナオミ・ワッツという、まさに今が旬のスターが競演した、ファンタジックな雰囲気を持つサイコサスペンス映画。
パッケージだけ観ると、どことなくストーカーチックなサイコスリラーっぽい印象も受けますが、全然そういうお話ではなくって…
どちらかというと、むしろ観念劇とか禅問答とかそういった雰囲気を持つ精神的なサスペンスといった感じかな?
どこかファンタジックな作品のテイストを出す為に、非常に凝ったカメラアングルやカットを積み重ねで、幻想的な雰囲気を作り出すという手法は悪く無いんだけど…
惜しむらくは、シーン毎のカットの切り替えが少々短く強引な印象を受け、あまり強烈なインパクトには到っていないのは残念な所。
もう少しカット割りに緩急や動きがあれば、ヒッチコックやデ・パルマみたいに『観るだけで観客を不安に陥らせるような演出』になったかも?
サスペンス映画の割には全体的に淡々とした展開が多く、特に序盤の話が動き出すまでの前振りが結構長くて、ちょっとだけダレそうになりますが、話が動き出してからは結構面白いです。
ただ、この手の映画を見慣れている人だと中盤辺りでちょっとだけ先の展開が読めてしまう為、話そのものは悪く無いんだけど『ラストまであまり驚きが無い』のが残念な所かな?
また、最後まで観ても『結局何だったの?』と思うシーンも多くて、なんとなく釈然としない部分が残るのは『狙った演出』なのか『単なる説明不足』なのか良く分からないのが困り者ですね。
思いッ切りネタバレになるので隠し文字で書きますが、特に下記の点に関しては最後まで良く分からなかったです。
******以下ネタバレ開始 ******
******読む場合は、文字を反転表示して下さい。******
結局、やたらとリアルに描かれてたサムの生活とかは何だったんでしょう?
ヘンリーの妄想なのか、それともサムの未来を予知したものなのか判然としません。
また、視力を失っていた男性(ヘンリーの父親?)が視力を回復するエピソードも、神秘的ではあるものの何の意味があるのか良く分かりませんでした。
******ネタバレ終了 ******
******ネタバレ終了 ******
総評としましては、ファンタジックな雰囲気や絵作りは悪く無いと思うのですが、サスペンスとしてはコレといったインパクトも無く割と普通の映画かな?といった感じの作品ですね。
いわゆる『スリラー』ではないけどミステリアスな感じのサスペンス映画が好きな人や、豪華な主演陣に興味がある人ならば、まあ観ておいても損は無いといったレベルではないでしょうか?
割とスローテンポな作品で、『単調な映画が苦手な人は途中で眠くなっちゃうかも?』とも思えるので、スピーディーな展開の作品を期待してる人は要注意です。