■■■「THE ROOM ザ・ルーム」■■■
(25点/サイコサスペンス)
ダウン症の男性のアレックスは、ある日事故により階段から転落し半身不随の車椅子生活を余儀なくされていた。
兄の事故の原因となったメリンダは兄の世話をかいがいしくこなすが、ある日、妊娠し出産する事となった事から、実家を出て一人暮らしを始める決意をした事を家族へと告げる。
しかし両親は厄介者の兄の面倒を観る人間が居なくなる事と、父親が誰かも分からない子供を出産する事に対して猛反発し、家庭は崩壊寸前のような状況だった。
そんなある日、彼らの家の二階に、扉にびっしりと細かい文字の書き込まれた『謎のドア』が出現する。
彼らは見た事もない謎のドアの出現に動揺するが、やがて自分たちが家の中から一切脱出できない『家に閉じ込められた』状況に陥っている事に気付くのだった…
何といいますか上手く喩えられないですが、いわゆる不条理系のサイコサスペンス映画です。
ベルギーってこういう、一風変わったサスペンス映画が妙に多い気がするんですが、流行ってるんでしょうか?
冒頭で「シャイニング」をパロディにしたカトゥーンアニメが出てきたり、有名な『仕事ばかりして遊ばない、ジャックはきっと気が狂う(All work and no play makes jack a dullboy.)』というセリフが引用されてたりするので、『「シャイニング」っぽいサイコサスペンスなのかな?』と思いきや、全然そんな内容ではなく…
確かに序盤はサスペンスっぽい展開なんですが、中盤からはむしろSFっぽい展開へと入っていきます。
ただSF風味という事で一見難解っぽい話の作りになってる割に、ストーリーが割とチープで中盤でなんとなくネタの予想が付いちゃって、後はオチに向かって進んでいくだけなのでハッキリ言って退屈。
しかもオチに向かう展開も『怖い』とかって訳ではなく、ネタばらしの瞬間までやたらと鬱々とした家庭崩壊劇が淡々と続くだけで、特に盛り上がるようなシーンも無く…
お話の方も『どう転んでもハッピーエンドはありえない』ような展開なのが容易に予想がつくので、途中から観てる方が『こんなん見てて良いんかなぁ?』って感じの、いたたまれない気分になりましたよ。
オチも『えっ、ソレで終わり?』みたいな感じの、ヤケにあっさりした投げっぱなしな終わり方だし…
演出やカメラアングルに凝るのは良いと思いますし映像の見せ方もキレイなんですが、あまりにも中盤の盛り上がりに欠けるのが辛い所でしたので、変な技巧に凝るよりも、もうちょっとストーリーをどうにかして要所要所で盛り上げるシーンが欲しかったです。
あと割とどうでもいい事なんですが、主人公のダウン症のお兄さんがどことなくホリエモンに似てて、映画観てる間中ずっと気になって仕方なかったのは俺だけですか?
総評としましては、ストーリー的にも内容的にも2重3重の色んな意味で『観るのが辛い映画』でした。
自分から望んで『鬱な気分や嫌な気分になりたい』という人が居れば観るのは止めませんが、そうでなければぶっちゃけ観ないでも良いと思います。
『オチで愕然』とかってタイプじゃなくて、全編に渡って淡々と鬱な映画ですので、まあそういう映画が好きならばどうぞ。