■■■「マニアカル」■■■
(35点/スラッシャーホラー)
知恵遅れで、幼い頃から父親に虐待されて育った青年ギルバートは、ある日、両親と妹をハンマーで撲殺しようとするが、母親を殺したのみにとどまり精神の療養施設へと送られる。
それから3年後、療養施設での治療をうけて一時帰宅がゆるされたギルバートは、療養施設に父親が迎えに来ると知って、スタッフを殺害して逃走。
3年前に『やりのこした仕事』である、家族全員の殺害を完遂するために、妹の元へと向かうのだった…
殺人鬼の兄が精神病院から逃げ出して、妹を殺害する為にやってくる…という、なんかどっかで聞いた事があるような設定のスラッシャーホラー映画。
…というか、まんま「ハロウィン」のパクリ映画ですね。
まあ単なるパクリ映画というよりも、殺人鬼がラバーマスクを被って黙々と人を殺したりする辺りも「ハロウィン」っぽいですし、他にも微妙に「サイコ」を彷彿とさせるシーンや他のホラー映画のパロディっぽいシーンも出てきたりしますし…
設定でもヒロインとその友達が異常なぐらいにホラーマニア(「ブラッディポンポン」とか、普通の人は絶対に聞いた事も無いようなホラーのタイトルの話題が出てくる)だったり、チョイ役にホラービデオ専門店の店員が出てきたりと、妙に色んなホラー映画のオマージュっぽい部分が多いので、どっちかというと、そういうホラーマニア向けの『ネタ映画』として楽しむべき作品なのかも?
ネタ映画風な作品ながらもB級ホラー(というかグレード的にはD級ぐらい?)としては割と堅調な内容で、途中で中だるみする事も無く、あまり退屈せずに最後まで観れる作りなのは良い点ですね。
残虐シーンもあるものの、B級ホラーだけあって特撮はチャチで作り物まる分かりのレベル。
殺人のシーンで『どう見ても死んでるよ!!』って言うような相手を執拗に攻撃し続けるシーンがあり、このシーンで殺人鬼の異常性を描きたかったのかもしれませんが、特撮レベルのチャチさもあいまって、逆にあまりにもしつこすぎるのが笑えてしまったり…
B級ホラーらしくツッコミどころも満載で、冒頭に過去のシーンで(3年前)で主人公が19歳の頃の場面があるんですが、当時のヒロイン(主人公の妹)は推定14~15歳ぐらいの設定の筈なのに、どんな贔屓目に見ても20歳以上…
っていうか、正味の話『干支が一周するぐらい年齢のサバを読んでる』としか見えない、「スパイダーマン」のMJも裸足で逃げ出すぐらいの壮絶なサバの読みっぷり!!
あと殺人鬼が療養施設から逃走するシーンで、最初に『食事の際に出されたフォークを隠し持っておいてソレを使って職員を殺害する』ってシーンがあるんですが、その次のシーンではフォークの存在なんか忘れて普通に『素手で職員の内臓を引きずり出して殺害』してしまいます。
いやいや、そんなに強いなら最初にフォークを隠す必要性は全く無いんじゃ…
他のシーンでも、素手で被害者の頭蓋骨を潰したりするし…どんな馬鹿力だよ?
ストーリーもグテグテで、ラストのオチとかも余りにも唐突過ぎて何が言いたいのか訳が分かりませんでしたが、まあこんな映画にストーリーの整合性とかキャラクターの深い描写とかを要求してもしょうがないですしね…
総評としましては、内容に期待せずに最初からD級映画ぐらいのノリで観れば、それなりに楽しめる映画ではあります。
ぶっちゃけ下らない話(っていうか、マトモにストーリーらしいストーリーは無い)なんですが、見るのが苦痛な程にツマんない映画では無いですし、ネタ映画として観る分にはそこそこ笑える部分もあったので、ネタ映画としてはアリかな?って程度の作品でした。