NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「日本沈没」(60点/パニック)

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■■■「日本沈没」■■■
(60点/パニック)

 近未来、日本の駿河沖で巨大地震が発生。

 日本海溝プレートの研究をしたアメリカの科学者によれば、これは『日本海溝プレートが引き込まれる事によって大規模な沈降が起こる現象』の影響によるもので、日本は30年程度で沈没するとの研究結果を報告する。

 海洋地質学の調査員の小野寺達は、この現象を調査するため深海調査艇で日本海溝の奥深くへと潜航するが、彼らはそこで驚くべき事実を目撃するのだった…


 小松左京原作によるベストセラーSF小説である日本沈没」の映画化作品。

 本作は映画ファンならずともご存知のとおり、70年代にも映画化やドラマ化されている超メジャータイトルで、私も過去にも観た記憶はあるのですが流石にあまりにも昔の話なので設定以外は殆どマトモに覚えていません。

 今回はそのリメイク…というより『原作の再映画化作品』とでも言った感じのタイトルと言えるでしょうか?

 今回の映画化は、特撮ファンの間ではすっかりメジャー監督となった樋口真嗣氏が監督という事ですが…
 いやはや、流石はもともと怪獣映画等の出身の樋口監督だけあって、CGを駆使したパニック描写の完成度は凄まじく、特に都市の大破壊の描写は迫力満点!!

 日本もそれなりにお金さえかければアルマゲドン」並のパニック映像が作れる時代が来たのだなぁ…と感慨深いものがあります。(って、「アルマゲドン」自体が既にちょっと古いですが…)

 あと余談ですが、この監督って怪獣映画出身なせいかやたらと自衛隊自衛隊メカの描写がカッコ良いんですよね…

 とりあえず特撮パニック映画のファンならば、この『大破壊』のシーンを観るためだけにでも本作を観る価値アリですね。

 ただ、映画のストーリーや内容の方はというと…ぶっちゃけ『テンポが悪い作品だなぁ』というのが正直な所。

 物語の本筋とも言える日本沈没にまつわるパニック描写や政治ドラマ』のシーンは結構面白いのですが、主人公とヒロインの人間ドラマの部分があまりにも冗長すぎ…

 正直、日本が沈没しようかという危急の事態と比べると『主人公とヒロインの恋愛ドラマ』なんてどうやっても安っぽく感じられるのに、そのシーンが必要以上に冗長に描かれててハッキリ言ってダルいです。

 しかも、この主人公達がメインのストーリーに絡んで来そうでなかなか絡まないので、観てて物凄いイライラしてしまい、途中から主人公の周辺のドラマのシーンは倍速再生で観てしまいましたよ…

 まあ、ラストの展開を盛り上げる為にも『主人公の恋愛ドラマを描かなければならなかった』のは分かるのですが、もうちょっと簡潔にまとめられなかったのかなぁ?

 『社会派のパニックSF小説』として知られる原作のノリからも、明らかに逸れてしまったノリですし、ストーリーとしての重要度の比率からしここまでクドく描く必要は無かったんではないかと…

 その割にはラストとかアッサリしすぎで、ちょっと『なんだかなぁ?』って感じでしたし…


 総評としましては、パニック映画としてはそれなりの出来栄えですし、日本のSF映画として観ると非常に完成度が高くて、邦画としては近年まれに見るぐらいの大迫力の映画だと思います。

 ただし『パニックシーン』以外の部分に関しては正直言って凡庸で、『エンターテイメントとして観るにはちょっとダルすぎかなぁ?』ってのが正直な所。

 もし劇場でこの映画を観てたら、途中でイライラして我慢の臨界点に達してたかもしれませんが、まあ自宅でビデオで観る分には良いと思いますので、パニック映画好きなら観ておいて損は無いタイトルでしょう。
 (ビデオならメンド臭くなれば、早送りも出来ますしね…)

 これがもうちょっと簡潔に100分程度にまとまってれば、名作と言っても差し支え無いレベルだっただろうになぁ…そう考えると、ちょっと惜しい映画でした。