■■■「ノンフィクション」■■■
(40点/オカルトサスペンス)
世界的な人気のホラー作家であるトマ・ロワ氏が自らの両手の指を切断した上で、窓から飛び降り自殺を図ると言う事件が発生する。
一命を取りとめたロワ氏は療養施設へと入れられ、彼の担当となった精神科医のポールは、自閉症のような症状を見せて誰とも口を利かないロワ氏の自殺未遂の原因を調べるため、彼の過去や人間関係の調査を開始する。
調査を進めるうちに、るうちにロワ氏の経歴を著作にしようとしている一人の新聞記者と出会い、記者が持っていた『ロワ氏が集めていたという新聞記事の切り抜き』から、彼が『凄惨な現実の事件や事故を元に小説を書き続けた事から自責の念に囚われて自殺を図ったのではないか』と推測するが…
事件の事実関係を調べていくうちに、逆に『彼が小説に書いた内容こそが、現実になっているのでは?』という疑念を抱き始めるのだった…
ホラー作家が小説で書いた内容が現実になる…という設定のフランスのオカルト映画です。
なんか「デスノート」のブーム以来、この手のジャンルがB級サスペンス市場で妙に定番化しつつありますが、内容的には別に似ても似つかないようなタイプの作品が多いので、煽り文句にイチイチ「デスノート」を引き合いに出すのはいかがなものかと…
本作も、どっちかって言うとキングの短編である「神々のワードプロセッサ」とかを連想するようなネタなんですけどね…。
内容的にはオカルトをベースとしたサスペンスといった感じの作品で、メインのお話として『ホラー作家の自殺未遂の原因を探る』って流れから『ホラー作家の出生の秘密』へとストーリーを膨らませていく展開は悪く無いと思いました。
…が困った事に、お話的にホントに『秘密を探る』事に終始してしまっているので、とにかく何も事件が起こらない。
謎解きのプロセスやストーリー自体はツマんなくは無いと思うのですが、あまりにも事件が起こらない為に、物語の中盤とか緊張感が全くなくて何とも退屈です。
一応、クライマックスではそれなりに盛り上がるんですが、それ以外の見せ場が余りに少ないため、もうちょっと要所要所に見せ場があって『ある程度の事件が起こる最中に謎を追っていく…』みたいな展開になってればそれなりに面白くなってたと思うのですが、中盤の展開が冗長すぎて流石にコレは微妙かなぁ?
フランスの作品でキリスト教を引き合いに出してる割には、そこまで宗教色が濃くなって無いので日本人にも観やすい作品になっている辺りは、まあ良い点かと…
あと、映像のセンスは悪くは無いと思いますが、ちょっとギレルモ・デル・トロとかの2番煎じっぽい印象もあるかも?
総評としましては、別に酷評する程に酷くは無いんですが『どうにも見所に欠ける微妙な作品』ってのが正直な所ですね。
オカルトとしてもサスペンスとしても、いま一つどっちつかずな印象になってしまった感があるので、この内容ならもうちょっとオカルト色を濃くしても良かったんじゃないかなぁ?
まあ、お話そのものがツマんなくて観てられないような作品でも無いので、気になった場合はお好みで…って感じでしょう。