■■■「シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ」■■■
(50点/スラッシャーホラー)
ベテランの巡査部長であるウィリアムズは4年前に連続殺人鬼を追跡中に殺人鬼によって片腕を切断されるという大怪我を負う。
彼はその負傷が原因で現役を退く事となり、今では更正施設にてティーンの軽犯罪者らの奉仕活動の指揮に従事していた。
今回も、30年前の火災で廃墟となった廃ホテルの改装工事の為に8人の若者達の指揮を行う事となり、彼らはウィリアムズの指揮のもと減刑の為に不承不承ながらホテルの掃除を手伝う事となるが…その廃ホテルには奉仕活動の若者たち以外に、恐るべき先客が潜伏していたのだった…
WWE(アメリカのプロレス団体)の花形レスラーである『ケイン』が殺人鬼役として登場する、閉鎖環境型のスラッシャーホラー映画。
なんか最近、WWEのレスラーが映画に出演するのが流行ってるのでしょうか?
ザ・ロック様の数々の主演作や、去年にビデオ発売された「サタンクロース」なんかもWWEレスラーの出演映画でしたが、本作はヒール役レスラーとして有名な『ケイン』が殺人鬼として登場です。
まあ『WWEのレスラーが、あんまり映画に出演するのもどうよ?』という気もしますが、『巨体の発する存在感』や『いかにもな悪役ヅラ』、そして『鉄パイプで殴られても殴られて全然死なない超絶タフガイ』っぷりなんかが、なかなか良い感じに殺人鬼役にハマっており、まあ悪くは無い感じです。
映画の内容の方は、割とオーソドックスなタイプのスラッシャーホラーといった感じで、絵作りやイメージ的に「テキサス・チェーンソー」(リメイク版)とかが意識されている印象を受けるシーンが多く、サブタイトルにも『肉鉤のいけにえ』とか付いてる辺りがそれを彷彿とさせますね。
映画としての完成度も割と『可もなく不可もなく』といった印象。
序盤が妙に8人の若者たちキャラクターの過去を掘り下げるようなシーン
(どう考えても『速攻で死にそうなキャラ』の設定を掘り下げられてもあまり意味が無いので、さっさと殺人鬼出せよ)が多くて、少々冗長な印象を受けますが、中盤以降の展開は結構スピーディーでなかなか良い感じです。
ただ、それなりに殺戮シーンとかの見せ場は多いのですが、殺人鬼が妙に『力まかせ』に人を殺すようなシーンが多くて、殺し方のバリエーションが、いま一つ面白味に欠けるのがちょっと残念な所かな?
なんか、力まかせっぷりが『お前はひと昔前のジェイソンか?』っていう感じ…
映画の設定も「13日の金曜日」というか「キャリー」というか、そんな感じで、最初の「テキサス・チェーンソー」風味とかも加えて、妙に色んなホラー映画の『ゴチャまぜ感』が強く感じられすぎるのが気になりました。
なんというか…色んなネタをインスパイアするのは良いんだけど、もうちょっと本作ならではの個性は欲しかったかも?
(っていうか、私、『本作とソックリの設定の映画』をどっかで観た事がある気がするんですが、どうしても何だったか思い出せません。もし、分かる人が居たら教えて下さい。)
総評としましては、良くも悪くも『及第点』レベルのスラッシャーホラーと言った感じの作品ですね。
コレといって強く推すほどの作品ではないですが、この手の映画が好きな人ならば『とりあえず普通に楽しめるレベル』の完成度だとは思いますので、観ておいても損は無いんではないかと…
基本的に悪くは無い作品なんですが、『もう一歩、何か突き抜けた部分が欲しい』と感じる一本でした。