NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「破壊神」(55点/モンスター:怪獣映画好きならオススメ)

イメージ 1

■■■「破壊神」■■■
(55点/モンスター:怪獣映画好きならオススメ)

 ユカタン半島の小村にマフィアのボスで麻薬王であるフランコが訪れ、住民たちを脅迫して麻薬の栽培を手伝わせる事を強要する。

 村の指導者である神父は、フランコに対抗して村民たちの身を守る為、古代文明の秘術を用いて蛇神『ケツァルコアトル』を呼び出す事でコレに対抗しようとするが、村民をかばおうとしてフランコ一味の凶弾に倒れてしまう。

 同じくフランコ一味によって家族を殺された若者・ミゲルは、神父の最期を看取った際に、神父から『ケツァルコアトル』を操る為のクリスタルを預けられ『ロス・アンジェルスに棲む神父の弟の元に行って力の扱い方を学べ、その力を復讐に用いるかはお前の心しだいだ』と告げられる。

 やがて神父の遺言どおりに、ロスでクリスタルのパワーのコントロールの方法を覚えたミゲルだったが、どうしても家族を殺された怒りを忘れる事が出来ない彼は、『ケツアルコァトル』の力を用いてフランコ一味を亡き者にしようと考えるようになっていくのだった…


 マヤ文明の神話に登場する『破壊神ケツアルコァトル』を題材としたモンスターパニック映画。

 ケツァルコアトルというと、ファンタジーや神話に詳しい人ならご存知だと思いますが、マヤ文明の神話で『世界を破壊する蛇神』と言われる存在で、別名『羽の生えた蛇』と言われる通り、『羽を生やした巨大な蛇』のような姿をした破壊神の事です。

 ちなみにパッケージを観ると、まるで海底軍艦」に登場する「マンダ」のような東洋風の龍がジャンボジェットに巻きついている絵がかかれていますが、本編に登場するモンスターはここまでデカくは無くて、だいたい全長数メートルといった感じのサイズ。

 まあこのパッケージイラストは、アルバトロス映画お得意の過剰広告な訳ですが…ただ、このパッケージのイラスト『羽の生えた蛇』という名前を聞いて、モンスター映画好きの人なら『それって、どっかで見た事があるような?』と思う人も居るかもしれませんが…

 実はケツァルコアトルってモンスターが映画でネタにされるのは『これが始めて』という訳ではなくて…そう、往年のB級モンスター映画の佳作である「空の大怪獣Q」に登場したアレが登場する映画と言えば、にわかにこの映画に興味を持った人も居るのではないでしょうか?
 (まあ、Qに出てきた奴よりも随分とサイズが小さいですが。)

 さてパッケージでは『怪獣映画』みたいな扱いを受けている本作ですが、実際にソレはあながちアルバトロス映画の妄想という訳でもありません。

 本編に登場するケツァルコアトルは、マフィアによって家族を殺された青年が『復讐の為に呼び出す』という『ダークヒーロー』的な扱いだったり、謎解き~怪物登場までのストーリーのプロットなんかもヒロイックな要素が強くて、ホラーやモンスター映画というよりもまるっきり『怪獣映画』のソレなので、海底軍艦を連想させるこのデザインも、ある意味で『的を射たデザイン』だと言えるでしょう。

 私は、最初は何の疑問も抱かずに『普通のモンスター映画』と思って観ていたのですが、この内容には良い意味で期待を裏切られた感じでした。

 ほかにも、個人的に『いかにも怪獣映画っぽい』と感じたのは、モンスターの登場シーンが妙にカッコ良い事で…

 ライトをバックに夜空から舞い降りてくるシーンや、悠々と空を舞いながら車を追跡してくるシーンなんかは、どうみてもモンスターと言うよりも『正義のヒーロー』という感じで、怪獣映画好きならばそういった『いかにも…』な感じの演出を見ているだけでも結構楽しめます。
 かなりベタベタなオチの付け方も個人的には結構好みかな?

 ただ本編の方向性は良いと思ったのですが、惜しむらくは『低予算映画ゆえにCGや特撮がショボめ』でイマイチぱっとしないため、モンスターの襲撃シーンが少々盛り上がりに欠けるのは辛い所。

 もうちょっと予算があって、特撮がしっかりと作られて盛り上がるシーンでもあれば、傑作とは言わないまでも秀作レベルの完成度にはなったと思うのに…非常にもったい無さを感じる作品でしたよ…

 総評としましては、いわゆるモンスター映画を期待して観たら微塵も怖くない内容』なので、ちょっと肩透かしを食らうかもしれませんが、むしろそれを認識した上で『怪獣映画好き』の人ならば十分に楽しめる作品と言えるでしょう。

 全体的に派手さに欠ける…というか、むしろ地味な感じの映画ではありますが、特撮シーン以外の完成度は総じて低く無い作品だと思いますので、そういうノリの映画が好きならば観ておいて損は無いと思います。

 個人的には、予想以上に楽しめた掘り出し物的な一本でした。