■■■「サブライム -白衣に潜む狂気-」■■■
(55点/サスペンス)
40歳を迎えたIT起業家のジョージは、誕生日の翌日に人間ドックで結腸内の内視鏡検査を受ける事となる。
『麻酔を打ち、眠っている間に検査が終わっている』と伝えられた彼は、医師の指示に従って検査を受診するが、検査が終わって目を覚ました時に全身の異常な虚脱感に加えて、自分の身体に『全く身に覚えの無い手術跡』が残されているのを発見する。
担当医を呼ぼうとしても曖昧な対応しか取ってもらえず、いよいよもって病院に対して不信感を募らせる彼だったが、同室の全身を包帯で巻かれた男から『別棟の東館に秘密がある』と教えられた事から、自分の身に何が起こったかを確かめるために、医師の目を盗んで病室を抜け出して東館へと赴こうとするが…
とある病院に検査入院した男の体験する恐怖を描いた、医療サスペンスホラー映画。
先日ご紹介した「レストストップ デッドアヘッド」、「ビリーバーズ」と同様に、ワーナーの販売するオリジナルビデオ向けホラーシリーズである「Raw Feed」シリーズの一本です。
ネタとしては病院を舞台としたいわゆる『医療ものホラー』となるのですが、『医療サスペンス』というよりも『病院にまつわる都市伝説をモチーフとした作品』という印象が強いかな?
検査入院に行ったつもりが、気が付いたら身に覚えの無い手術を施されていた…という中途半端にリアルな設定が、いかにも『現実にありそうな話』といった感をかもし出していて、なんともそら恐ろしいです。
本編内に登場する、陰鬱な『旧病棟(東館)』のイメージや、『見るからに怪しげな黒人看護士』や、『不気味に壊死していく傷跡』などの、まさに悪夢の中に出てくるようなビジュアルは観ているだけで不安感を煽り立てられ、良い意味で『非常に不快な気分』になれることウケアイ!!
逆に、スラッシャーホラーは平気でもそういう『ネチっこい表現』が苦手という人が観ると、かなり辛いものがあるかも?
どちらにせよ、残虐描写は若干強めの作品です。
ただ、『映像表現』や『演出』はなかなか高水準なのですが、ストーリーに関してはちょっと捻りが不足しているなぁ…と感じるのが正直なところ。
一応は『ちょっと捻った展開』には成っているんですが、少しでもホラー映画慣れしている人なら殆どの人が、割と序盤から仕込まれた『ネタ』に気付いてしまうと思うので、あとは『いつネばらしが来るのかな?』と予想しながら観る事となるのですが…
(流石にコレは、序盤でヒントを出しすぎ…)
全体の尺が長めで『ネタばらし』までが妙に長く引っ張られる感があって、中盤がちょっと飽きてきます。
本作に限った事ではありませんが、「Raw Feed」のシリーズは全体的にホラーとしては尺が長めで冗長な印象を受けるので、尺の長さの基準を後10~15分ぐらい短くして、もうちょっとテンポの良い作品にした方が良いかも?
謎解き重視のサスペンスとかならさておき、ジャンル的にモダンホラーは『テンポの良さ』が大事だと思うんですよ…
オチの付け方とかも『なかなか悪くない』と思ったので、やはり『全体的なテンポの悪さ』だけがネックと感じた作品でした。
総評としましては、総じて悪くは無い作品なんですが『演出はなかなか良いんだけど、ストーリーはいま一歩』という感じの作品でした。
良い点も多く、観るべき部分も十分にあるのですが、尺の問題も含めて若干練りこみ不足な感じかな?
ノリ的には、ホラー向けの『1時間ドラマ』を無理矢理2時間に引き伸ばしたような感じの作品ですね。
ストーリーとか設定とか、いかにも『TV映画』的な印象ですので、その手のホラードラマとかが好きな人なら観ておいても損は無いかと…
さて、コレで現在日本で発売されている「Raw Feed」のシリーズの全巻を視聴した訳ですが、『映画』というよりも『TV映画』的な印象が強い部分は多いものの、全体的に『ハズレが無い』ので、ホラーファンなら『とりあえず観ておくべきレーベル』かな?
「マスターズ・オブ・ホラー」のような圧倒的なクオリティは無いものの、ソツなくまとまった作品が多いので、サクっと観るには非常に良い感じですね。
このシリーズって現在は3本しか出てないようですが、海外だとシリーズの新作が出てたりするのかな?
新作が出たら、是非とも観て見たいと思います。