■■■「バリケード」■■■
(40点/スラッシャーホラー)
ドイツに住むマイケルとデビットの二人は、アメリカから遊びに来た親友のニナと共に、郊外の湖畔にあるキャンプ場へとバカンスに出かける事になる。
しかしキャンプを楽しむ彼らの元に、深夜にマークと名乗る男性が現れ、『このキャンプ場には殺人鬼が居るから、この場から立ち去れ』という謎の警告を残していく。
男の警告を不気味に感じつつも湖の周りを散策する彼らだったが、果たして謎の男の告げる事は真実で、やがて彼らは自分たちが恐るべき殺人一家のテリトリーへと足を踏み入れている事に気付くのだった…
バカンスに訪れた若者たちが、謎の殺人一家によって命を狙われる…というなんともありがちな設定のドイツ製のスラッシャー映画。
ドイツのホラー映画というと、やたらとゴア表現が強めのグロ映画という印象がありますが、果たして本作もご多分に漏れない感じで…
なんと言いますか『なんじゃこりゃ!?』ってぐらいに恐ろしく内容の無い映画で、とにかく映画の最初から最後までひたすらキチガイ家族による残虐シーンを延々と見せられるだけの作品です。
残虐シーンの比率がどれぐらい徹底しているかと言いますと、本編のメインの登場人物は3人しか居らず、当然ながら3人だけではどうやっても残虐シーンをそんなに描く事が出来ない訳ですが…
それを解消する為に、なんと10分おきぐらいに『本編の主人公達とは関係のないキャンパー』がキチガイ家族に惨殺されて解体されるシーンが挿入されるという徹底っぷり。
確かにこれだけ頻繁に残酷シーンを挿入されれば、お話的に『ダレる』という事は無いのですが、流石にこれだけ延々と『惨殺シーン』ばかり見せ付けられると、いくら血みどろ映画が好きでもぶっちゃけ途中で飽きてきます。
10分おきに『殺人一家』の棲む山小屋にシーンが移ったら『はい、惨殺タイム始まったー。』みたいなノリで、もう何か『ホラー映画』というよりも『90分間・人体解体ショー』みたいなイキオイ。
ノコギリで首を切ったり、酸で溶かしたりと、殺しかたにバリエーションを持たせようとしている努力は分かるのですが…
意図しての事なのか単なる予算の都合なのか全体的にフィルムの画像が非常に荒くて、20年ぐらい前の映画かと思うぐらいに画面が汚いため、ぶっちゃけ残虐シーンの大半は『何をやってるのかよく分からない』という状況。
とにかくドバドバとド派手に血が出るシーンは見せてくれる訳ですが、『そんな血みどろ映像ばっかり延々と見せられても…』って感じで、流石に物事には限度があるという事でしょう…
当然、そんなお話ですからストーリーの方はグテグテもいい所。
詳細にストーリーを語っても5行ぐらいあれば語りつくせるような内容の薄いストーリーに加えて、設定やら何やらも無理がありすぎ。
だいたい『100人以上の行方不明者や大量のバラバラ死体が発見されてるキャンプ場』に、平気で遊びに来る観光客って…
いったいどんな連中だよ、お前らの神経の方が怖いわ!!
カメラワークやら演出やらも中途半端に『狙った』感がまる出しで、色んな部分で全体的に素人臭さが目に付いてしまうのは辛い所ですね。
まあ『作品の質』に関してはさておくとして、監督のやりたい事は良く分かりますし、作品の方向性としても『個人的には嫌いでは無い』のですが、せめてもうちょっと予算やら技量やらを考慮して上手く撮れる範囲で撮るべきだったのでは…
総評としましては、B級というよりはD級ぐらいの印象を受ける、良くも悪くも『イキオイだけで撮ったような映画』ですね。
ホントに『残虐シーンだけ』を見る為のホラー映画ですので、B級ホラーにありがちな『グテグテだけどイキオイだけはある映画』が好きな人ならば、まあそこそこは楽しめるんじゃないでしょうか?
この監督が、もうちょっと『普通のホラー映画』を撮れるようになれば、全体的にセンスは悪く無いとは思うので、今後の作品に期待したい所ですね。