■■■「グリズリー・レイジ」■■■
(20点/生物パニック)
ハイスクールの卒業旅行に車でキャンプ場に向かったローレンらの4名は、目的地に向かう途中で悪ノリからサラナク・グロットという、閉鎖中で立ち入り禁止の自然公園へと向かう事になる。
しかし山道でスピードを出しすぎた彼らは、途中で誤ってグリズリーの子供を轢いてしまうという事故を起こす。
事故によって車が道から逸れて故障し、携帯電話も通じない森の中で途方に暮れる彼らだったが、そんな彼らの元に子供を殺されて怒り狂った母熊が迫りつつあったのだった…
交通事故によって子供を殺された巨大なグリズリーが、怒り狂って人間に復讐するという生物パニック映画。
ネタとしては意外とありそうで少ない『巨大熊』が主役の生物パニック映画ですが、やっぱクマってのは外見的に『のほほんとした印象』がある為、妙にほのぼのした雰囲気になってしまうからでしょうか?
見た目はともかく、現実にはクマによる被害ってのは多いと思うのですが…
本作は『母クマが子供の復讐の為に人間を襲う』という明確な意識付けがされているため、襲撃シーンに鬼気迫るものがあってなかなか怖いです。
本編の内容的にはアメリカのTV映画っぽくて、いかにも低予算映画という感じ。
クマの登場シーンは本物のグリズリーが使われており、そこそこに迫力があるものの、人間との絡みをやる程の予算は無かったのか、『襲撃シーンはイメージ映像です』というようなノリで、どうにも迫力不足。
一部、部分着ぐるみ(クマの腕や頭のみの着ぐるみ)で人間との絡みを撮ってるシーンもありますが、ソレはソレで作り物全開で違和感がありまくりなので、もうちょっと見せ方に工夫が欲しかった…
また『登場人物が4人しか居ない』ため、途中で話が間延びしちゃうのは流石にどうしようも無い部分だとは思うのですが、ストーリーに関してもかなり微妙。
物語の途中で、不法投棄された『生物学汚染(バイオハザード)』のマークが付いたドラム缶が出てきたりするのですが、これがクマの親子と何か関係があったのかは最後まで全く不明のまま。
途中で猟師の山小屋らしき場所が出てくるので、これが物語に絡んで来るのかと思いきや、コレまたストーリーには一切関係なし…
更に、思いっきりネタバレになりますが、ラストも何のオチも付かないまま『全員がクマに殺されて終わり』という驚異的な投げっぱなしっぷりで、結局この監督が本作で何を描きたかったのかは全くもって理解不能でした。
っていうか、本作って『思いつきだけ』で伏線を張って放置したような作品の気がするのは、私だけですか?
『序盤のテンポの良さ』と『襲撃シーンの緊張感の持たせ方』は唯一の救いですが、ストーリーのお粗末さも含めて『もうちょっと何とかならなかったの?』というのが正直な所です。
総評としましては、何というか全体的にどうにも『中途半端』と言うか『投げっぱなし』感の漂う、『だから何やねん?』という感じの映画です。
私もB級ホラー映画に綿密なストーリーを求める気は無いですが、せめて伏線を張ったらコテコテでも良いのでキチンと消化しようよ…
雰囲気や演出の質は悪く無いだけに、とにもかくにもストーリーが残念な映画でしたよ。