■■■「デス・トンネル」■■■
(25点/オカルト)
1900年代にアメリカのケンタッキー州で結核が大流行し、患者を隔離する為の医療施設である「ウェイバリー・ヒルズ隔離診療所」が建設される。
後に結核が6,3000人の死者を出した際に、大量の死体を廃棄する為に隔離診療所の地下に作られた『死体搬出用のトンネル』は「デス・トンネル」と呼ばれる心霊スポットとして知られるようになった。
ヴァンガード医科大学の新入生であるヘザーは、新入生歓迎パーティーのイベントの一環として、この不気味なウワサの絶えない医療施設の廃墟での肝試しに参加する事になるが…
アメリカの実在する心霊スポットを舞台として撮影されたという、いわくつきのオカルトホラー映画。
実際の心霊スポットを舞台として撮影されたホラー映画というと「Session 9」とかを思い出しますが、廃墟としての建物の不気味さでは「ウェイバリー・ヒルズ隔離診療所」の方が上で、確かに『肝試しでもこんな場所には行きたく無い』と感じさせられる程に気持ち悪いです。
…が、本編の内容が面白いかと言われると、ソレは全くの別問題。
本作の点数は25点と採点していますが、内わけの『20点』は『廃墟の映像の不気味さ』に対して付けた点数で、ぶっちゃけ本編のみだと『5点』ぐらいの価値しかありません。
本編の方は、とにかく『怖くない映画』です。
何というか演出が煩雑で、いったい『どこで怖がったら良いのか分からない』んですよ…
恐怖演出らしいシーンは所々に組み込まれているんですがとにかくコレがチャチで、廃墟の映像は不気味で良いのに、演出や画面効果が入るとやたらとショボくてとたんに怖くなくなる…
怖がらせたいポイントもイマイチ分かり難く、登場人物達はやたらと絶叫してるのですが、何に怯えてるのかも良く分からない上に、『えっ、あの人は死んだの?』みたいな感じでいつの間にかキャラが減っている…
ストーリーも、全く無意味に時間軸を前後して描かれていて難解な上に、終盤での『説明不足の上に何の脈絡も無い謎解き』と『何を言いたいのか良く分からないラストシーン』等々…
何か『何となく怖そうな映像を集めてみました』(その割にあまり怖くない)みたいな感じで、演出にもストーリーにも一貫性が無くて監督の『自己満足』的なものしか感じられないのは私だけですかね?
とにかく退屈な映画で、思わず途中で3回ぐらい寝そうになって意識が飛んでしまいましたが、がシーンを巻き戻して見直す気も起こりませんでしたよ…
いっそコレなら、ストーリー無しで延々と『廃墟の映像』を撮り続けていた方が、怖かったんじゃないかと?
そういや心霊スポットで撮影されただけの事はあって、実際に本作の撮影中に色々と怪奇現象やらが起こったらしくて、それをドキュメンタリー風にまとめた「インサイド・ザ・デス・トンネル」なる作品も発売されているらしいので、これならマダそっちの方が面白いかも?
総評としましては、本編の方はハッキリ言って『ホラーとしては箸にも棒にもひっかからないような作品』です。
ただ『廃墟の映像』はなかなか不気味で良い感じなので、廃墟マニアな方ならばそれなりに楽しめるかもしれません。
でも、同じ『廃墟ものホラー』なら「Session 9」の方が普通に面白いので、ソッチをオススメしますけどね…