■■■「トレマーズ・ライジング 」■■■
(40点/モンスター)
フランスに暮らすヤンらの若者の6人のグループは、休日に友人同士のバーベキューの後にクラブへと向かう途中の山道で車がガス欠になる。
仕方が無く車を降りてガソリンスタンドまで車を押す面々だったが、給油中にゼブという不気味なハイカーを乗せた後に再出発した際に、脇見運転によりトマの車が崖から森の中へと転落。
なんとか車から脱出して一命を取りとめた彼らの目の前で、トマの車は正体不明の何者かによって地中へと引きずりこまれていく。
幽霊が出ると言うウワサのあるその森の地中には、200年以上前に隕石に乗って飛来した謎の巨大生物が潜伏していたのだ…
深夜のドライブ中の若者たちが、森の中で地中から出現した正体不明の怪物に襲われるというモンスターパニック映画。
フランス製のモンスター映画で、「ドーベルマン」等の特殊撮影のスタッフだった人が監督デビューして作った作品だそうで、当然ながら本家の「トレマーズ」とは何の関係もありません。
一応は『地中から出没する正体不明の巨大生物』が物語のメインとなっているので、「トレマーズ」っぽいと言えばソレっぽいのですが、何と言うか実に中途半端な作品です。
中盤までは、ドライブの途中で拾ったハイカーが実は『逃亡中の連続殺人鬼』だったという展開で、怪物が全く登場せずに『本当にコレってモンスター映画なのか?』と思うような展開。
この殺人鬼がさぞ重要な役なのかと思いきや、物語の中盤にてアッサリと退場して、後半は一変して怪物との追いかけっこへ突入したと思いきや、特にコレという盛り上がりも無いまま、『何のこっちゃ?』と言いたくなるような唐突な結末。
『サスペンス』と『モンスターホラー』という前半と後半で『ギャップのある展開』を狙ったのかもしれませんが、サスペンスのシーンは緊迫したシーンが少なくて緊張感がまるで無く、モンスターホラーのシーンではモンスターの出番が物凄く少なくて迫力に欠けるという、なんとも残念な出来栄えに…
狙ってる方向性は良く分かるのですが、サスペンスもモンスターもどちらも描き込み不足で、明らかに監督の力量が足りてないなぁ…と思わせる内容です。
そもそも、モンスターの襲撃シーンの8割ぐらいが『地面が盛り上がって追いかけてくるだけ』ってのはいただけませんよ。
ぶっちゃけて言うと、殺人鬼やモンスターが登場する前の『日常の会話のシーン』が一番面白くて良く撮れていたと思うので、映画を撮る方向性を間違えてしまったのかも?
総評としましては、なんと言うか『色んな意味で消化不良で不満の残る作品』です。
撮影技術や映像の見せ方は悪く無いと思うので、やはり演出力不足が最大のネックでしょうか?
とりあえず、特にコレといってオススメするような点もありませんし、サスペンス好きが見ても、モンスター映画好きが見ても不満が残る作品だと思うので、よほどの物好きじゃない限りはスルーしてしまって良い映画ではないかと…
「トレマーズ」シリーズが好きな人は、正統なシリーズと勘違いして借りてしまわないように要注意ですよ。