■■■「ツイてない男」■■■
(60点/スラッシャーホラー:結構オススメ)
マフィアお抱えの窃盗のプロであるリッチーは、腕は良いものの予想外の不運に見舞われて『仕事』は失敗続きだった。
そんなある日、彼はマフィアのボスから『最後のチャンス』として、モスクワのとあるビルからイワン雷帝の『黄金の十字架』を盗み出す事を命令される。
現地で仲間と合流した彼は、首尾よく『黄金の十字架』を手に入れる事に成功するが、逃走中に仲間の一人の失敗からビルの途中の階でエレベータが停止し、乗客たちと一緒にとあるフロアに閉じ込められてしまう。
そして工事中と思しきそのフロアは、『どこにも外部への出口が無い』という恐ろしく奇妙な構造をしていたのだった…
「ブレイド」で主人公のライバル役として出演していたスティーブン・ドーフ主演による、コメディ風味のスラッシャーホラー映画。
最初は『泥棒の主人公が主役の犯罪アクション映画』かと思いきや、主人公達が逃走の最中にビルのとあるフロアに閉じ込められるのですが…
何故かその場所に唐突に猟奇殺人鬼が出現し、中盤から『急転直下のスラッシャーホラーになる』という展開はなかなかに面白いです。
お話の内容はコメディ風味なのですが、とにかく『先が全く読めない構成』で、お話の転がし方も非常に上手くて、素直に『この先、どうなるんだろう?』と興味深々で鑑賞できました。
まあ、サスペンスという程に複雑な謎解きも無いのですが、ストーリーの構成はなかなかに秀逸と言えるでしょう。
キャラの個性付けもなかなか面白くて、ところどころに含まれるブラックユーモアも隠し味として上手く働いて居ます。
(工事中のビルのフロアに唐突に現れた殺人鬼の『見た目のインパクト』も、ある意味で必見。)
ただ、主人公と悪役は良い味を出しているんですが、他のキャラが妙にウザくて余り魅力的じゃないのは、ちょっと残念な所。(まあ、いわゆる『殺され役』なのでウザいぐらいでも丁度良いんですが、ウザいキャラが多すぎです。)
ちなみに、コメディホラーと言っても残酷描写は割と強め。
パッケージとかタイトルとかを観ると割と楽しそうな映画を想像してしまいますが、普通のスラッシャーホラー並に人がバンバン殺されるので、血の苦手な人は要注意です。
ただ、スラッシャーホラーとしては殺害方法がやや一本調子なので、個人的には『殺人シーンに、もうちょっとバリエーションがあっても良かったかな?』とは思いました。
せっかくブラックユーモアを効かせた展開にしてるんだから、もうちょっと『やりすぎだろ!!』みたいな殺害パターンがあっても良かったんじゃないかと…
あとラストシーンも、もうちょっと派手なオチがあっても良かったかなぁ?
終盤までは物凄く面白いのに、最後がちょっと地味なせいで印象が薄くなってしまってるのが勿体無いですね。
総評としましては、ブラックなコメディホラーが好きな人なら、なかなか楽しむ事が出来るんじゃないかと思われる、なかなか良質なコメディホラー映画だと思います。
ややノリが異なりますが、「ショーン・オブ・ザ・デッド」とか、その手の映画が好きな人なら、なかなかハマれる作品では無いかと…
まあそれを差し引いてもスラッシャーホラーが好きな人ならば、ごく普通に楽しむ事が出来る作品だと思いますので、ホラー好きならば結構オススメなので興味が沸いたら是非!!