NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「変態ピエロ」(45点/サスペンス)

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■■■「変態ピエロ」■■■
(45点/サスペンス)

 テレビショーの前座が仕事の芸人で歌手でもあるピエールは、国民的人気歌手であるクロヴィス・コスタを誘拐する。

 クロヴィスを椅子に縛り付けた彼は、身代金を要求する訳でもなく『大統領と話をさせろ』と言ったり、『明日、クロヴィスに特別コンサートを開かせろ』というような無茶苦茶な要求を繰り替えす。

 クロヴィスは何とかして彼と交渉し、拘束から開放されようと会話を試みるが…


 「変態男」、「変態村」に続く『変態シリーズ』第3段に当たる(らしい?)ユーロサスペンス映画。

 何でも「変態村」のスタッフが作った作品らしく、内容的には確かに理不尽で変態じみては居ますが、「変態ピエロ」ってのはちょっとらしくないタイトルかな?

 そもそも、主人公がピエロの格好をするのも終盤の一瞬だけだし…あんまりピエロは関係ありません。

 本編は『何と解説したものやら…』って感じの、何ともシュールな内容。

 基本的に主人公のピエールと、拘禁された歌手のクロヴィスとの会話劇でお話が進むのですが、現実なのか虚構なのか良く分からないシーンが入り混じっており、後半辺りからホントに訳が分からなくなります。

 物語の途中で何度か主人公が窓から投げ落とされるシーンとか、主人公達が監督(というか撮影スタッフ)に話しかけるようなシーンがあるのは、いったい何なのか?
 そもそも、クロヴィスは本当に『本物の国民的歌手』なのか?

 映像表現もシュールでいて、そういう『不可解なシーン』に関して本編中で納得の行く説明が一切行われて居ない為、いわゆる普通の『サスペンス映画』という方向性とはちょっと異なる感じですね。

 何でも、カンヌ映画祭でも物議を醸(かも)したタイトルらしいので、ちょっと芸術性が高すぎて訳が分からなくなってると言うか、むしろ『「サンダンス映画祭」とかに出した方が相応しかったのでは?』って…感じの内容です。

 ただ、シュールサスペンスとしては映像も雰囲気も良く出来ていると思うのですが、会話劇が中心の上に2時間近く理不尽な展開を延々と見せられるため、中盤辺りから物凄く眠くなって3回ぐらい寝落ちしてしまって、ラストは3回ぐらい見直してしまいました。

 タルコフスキーの映画ほどじゃないですが、気力が充実してる時に観ないとちょっと辛い内容かもしれません。


 総評としましては、エンターテイメントとしてはさておき『シュールな映画としては割と良く出来ている』と言えるレベルの作品だと思います。

 最初から、そういうシュールな内容だと割り切って観る分には、そこそこ楽しめる一本だと言えるでしょう。

 「変態村」や「変態男」のような『変態趣味的なサスペンス』とは少々テイストが違いますので、そういう方面を期待して観と肩透かしを食らうかもしれないので要注意ですね。