NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「11:46 ジュウイチジ ヨンジュウロップン」

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■■■「11:46 ジュウイチジ ヨンジュウロップン」■■■
(70点/スラッシャー:オススメ)

 病院の精神科に勤める看護士のカレンは、ある日、自分の患者であるヴィヴィアンが電車へと飛び込み自殺したという事を知らされてショックを受ける。

 そして、ヴィヴィアンが生前に彼女宛に残した最後のメッセージには、何故か『ヤツらが来る』という謎の言葉が書かれていた。

 患者の自殺からショックも覚めやらぬまま、多忙な一日を終えたカレンは地下鉄の最終電車に乗って帰宅しようとするが、電車は唐突に暗闇の中で原因不明の急停車をする。

 暗闇の中で取り残され、他の乗客たちと共に不安に駆られるカレンだったが、そんな最中、新興宗教団体と思しき謎の集団が唐突に『乗り合わせた乗客たちを次々と襲撃する』という異常事態が発生していたのだった…


 深夜の地下鉄路線構内で『謎の集団』が無差別殺戮を繰り広げるという、オカルト風味のスラッシャーホラー映画。

 タイトルを見ると、なんとなく「0:34」という映画のパクリっぽい印象を受けますが、確かに『深夜の地下鉄構内』とかの共通点はあるものの、「0:34」が『モンスターホラー風味』だったのに対してコチラは『オカルトホラー風味』と、内容の方は似ても似つかぬような感じのお話です。

 私も本作に関しては、特にコレといった前知識も無く「0:34」みたいなノリの無難なモンスター映画なのかな…と思って観たのですが…

 いやはやどうして!! コレがかなりの掘り出し物でした。

 内容の方は、何と言いますか『とにかく怖い映画』です。

 最初は妙にコケ脅し演出が多いので、単なるショッカーものかと思いきや、序盤から物凄く展開が早く、ホントにジェットコースターのようなイキオイで怖いシーンが続きます。

 残虐描写もなかなかのもので、ゴア描写をウリにしてる映画なんかよりも妙にリアルで…
 例えば犠牲者が首を切られるようなシーンでも、首がスパっと切り落とされるんじゃなくて『中途半端に切れてブラーンと繋がっているような描写』だったりと、逆に『痛々しい演出』が矢鱈と多くて、むしろ『精神的にくる物』とか『嫌ーな気分になるようなシーン』が多々あります。

 ストーリーもなかなか良く出来ており、『得体の知れない宗教団体の不気味さ』に加えて『隣人が唐突に殺人鬼と化すかもしれない』という潜在的な恐怖と言ったアイデアも秀逸。

 『こんな話にどうやってオチを付けるんだ?』と思ってたら、オチの『意外な収拾の付けかた』も、かなりショッキングで驚かされました。
 いや、コレは久々に凄いものを観たな…と素直に感心させられましたよ。

 深夜に映画を観終わった後に、思わず『自分の家の戸締りを確認したくなった映画』は久々でしたよ。(笑)

 なんでも、本作は各国の映画祭で『一番怖い映画』として絶賛されたそうで、確かにソレも納得です。

 ただ、唯一不満点を上げるとすれば、お話の中で数カットだけ『地上の他の場所の光景』が写されるシーンがあるのですが、そのシーンの見せ方が余り良くなくて、いまいち『事件のスケール感』が感じられない事ですかね?

 ここで、もっと上手く『大規模なスケール感』を感じさせてくれてれば、もっと怖い映画になったと思うので、その部分だけはちょっと残念な所かな?


 総評としましては、久々にコレは『ホラー好きなら是非とも観ておくべき』だと感じるような『純粋に怖い映画』でした。

 無名のB級ホラーとしては、年に一本出るか出ないかのレベルの当たりの作品だと思うので、そういう方面の作品が好きならば、とりあえず観ておいて損は無い一本でしょう。

 でも納得行かないのは、何で本作にホラーマニアの間でも微妙な評価である「0:39」のパクリみたいな邦題を付けたんでしょうかね?

 どう考えても、完成度が『パクリ元の作品』を軽く超えちゃってるんで、むしろパクリと勘違いされる事で損をしてる気がするんですが…
 あと、これから観ようと言う人は、間違えて「0:39」とか借りてしまわないように、要注意ですよ。