■■■「永遠のこどもたち」■■■
(80点/サスペンス:オススメ)
幼い時期を孤児院で過ごしたラウラは、成人した後に自分も孤児達の役に立ちたいと考え、夫と共にかつて自分が過ごした孤児院を買い取り養護ホームを作る事を計画する。
かつての孤児院をリフォームして、夫と7歳になる息子のシモンとともに移り住んで来た彼女だったが、シモンは友達のいない孤独さからか空想上の友達を作って遊ぶようになり…
そしてホームの設立パーティーの日に、母親とケンカしたシモンは『友達』と共にどこかへと姿をくらませてしまい、警察の懸命な捜索にも関わらず行方が知れなくなってしまう。
それ以降、誰も居ない筈の家の中で奇妙な物音や人の気配を感じるようになったラウラは、かつて孤児院で暮らしていた子供たちの霊が『シモンをどこかへ連れ去ってしまったのではないか』と考えるようになるが…
「ミミック」のギレルモ・デル・トロに製作で、スペイン本国で2007年度No.1ヒットを記録したというオカルトサスペンス映画。
最初は、子供に『居ない筈の友達が見える』という、単なるファンタジーホラー風の幽霊屋敷ものかと思って観てたのですが…
いやはや、コレは良い意味で予想を裏切られました!!
お話の前半は、ホントに単なる『幽霊屋敷もの』っぽい展開で、デル・トロが関わってるだけあってお話の雰囲気は良いものの、展開がスローテンポで『ちょっとダルい映画だなぁ…』と思いながら見ていたのですが…
中盤からが、唐突な程の『怒涛(どとう)の急展開』といった感じで、コレはかなり意表を衝かれましたよ。
割とサスペンス的な要素が強い作品なのであまり詳しくは語れませんが、中盤で急に「ヘルハウス」的な心霊実験映画みたいなノリになったかと思ったら、おもむろに明かされる『意外な真実』や『予想外の展開』の数々は、ホントに怖くて且つ面白いです。
キッチリと怖がらせるショッカーホラー演出を入れながらもシッカリとストーリーを作りこんで、更にオカルト映画に対するオマージュっぽいものも組み込んであったりと、いやはやなんとも芸の細かい内容で素直に関心させられましたよ。
中盤の展開でも結構驚かされたのに、更にラストでは『そう来たか!!』って感じで、怖さに加えて、驚きやら、切なさやら様々な気持ちがないまぜになって、ホントに『なんとも言えない気持ち』に浸ってしまいました。
いや、パッケージの『魂をゆさぶる、衝撃と感動のダークファンタジー』ってのは、単なるあおり文句では無いですよ。
とりあえず『No.1ヒット』かどうかはさておき、2009年度で『最も印象に残ったホラー映画』としては間違いなくこの作品を超える物は無いと思われますので、いやはや、コレはホントに『内容を語れない』のが悔しいですね。
総評としましては、怖くて、面白くて、哀しくて、一言で言ってしまう事は出来ないのですが『とにかく凄い映画』でした。
ホラーファンなら『絶対観ておけ!!』、またホラーファンならずともサスペンスホラー系の作品に興味がある人ならば『是非とも観ておくべし!!』というレベルの作品だと思いますので、気になる方はチェキしておくべしですよ。
いやはや個人的には久々に、サスペンスとかの要素抜きにして『色んな意味で意表を衝かれた一本』でしたよ。