■■■「ダーク・サファラー」■■■
(50点/サスペンス)
学校を中退し親に勘当された身でホームレスの若者の兄弟であるポールとダンは、今の生活を抜け出して新たな人生をはじめる為にカリフォルニアへの移住を決意する。
彼らは移住の資金を得るために仲間の薬の売人のアジトへと押し入り、金を奪って空港へと向かうが、そんな彼らの前に巨大な豹のような怪物『サファラー(疫病神)』が姿を現し、どこまでも追跡してくるのだった…
『サファラー(疫病神)』に出会った不良の兄弟が辿る運命の顛末を描いた、SF風味のサスペンス映画。
なんと言いますか、ちょっと不思議な味わいを持った作品です。
とある不良の兄弟が、ある事件をきっかけに『「サファラー(疫病神)」と呼ばれる謎の怪物に付けまわされるようになる』って話なのですが…
このサファラーっては『人面豹』みたいな生き物で、その正体は一切不明。
『特定の人間に付きまとう』ってだけで、特に何をする訳でもなくて、単に側で見守っているだけで、その目的も一切不明。
別に人間を取って食う訳でもなく、不気味な外見ながらもネコっぽい動作は妙に可愛らしさを感じさせるぐらいです。
ただし、その存在は世間では認知されていて『コイツに付きまとわれると不幸が訪れる』というウワサがある事から『サファラー(疫病神)』と呼ばれているって感じの設定です。
実際に本編の中でも『サファラー』が自分から何らかの行動を起こす事は殆ど無くて、不良の兄弟の運命を淡々と描いているだけなのですが、この怪物の存在感のお陰で何とも言えない不思議な味わいを持つ作品になっています。
ノリ的には、現代が舞台の『ダークファンタジー』という系列が一番近い感じかなぁ?
お話そのものは、非常にやるせなさの漂う感じの人間ドラマで、軽くアンニュイな気分になるような作品ですが、ストーリー自体はそこそこ面白いです。
『サファラー』の存在自体は、何らかの『象徴』的な意味合いでしか無いので、ちょっとやるせないノリの青春物とか犯罪物のお話とかが好きならば、結構楽しめる内容ではないかと…
個人的には、主人公である兄弟の関係にそこまで感情移入出来ずに、人間ドラマとしては薄っぺらさを感じてしまったので、その辺りをもう少し深く描き込むか、登場人物を増やして人間関係に厚みを持たせれば『もっと面白くなったかも?』と感じました。
総評としましては、『独特の味わい』はあるものの全体的に『内容の薄さ』を感じるという『物足りなさの残る人間ドラマ』といった感じの作品ですね。
パッケージを見ると、モンスターに追い掛け回される緊張感あふれる内容のように見えますが、そういうノリは一切ないので『モンスター映画を観たい人』は間違えて借りてしまわないように要注意です。
単発の映画よりもオムニバスの『TVシリーズ』とかにして、4話ぐらいで別の主人公の物語を描くような方式にすれば、結構面白い作品になりそうな気がする設定のお話でした。