NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ケース39」(55点/サスペンス)

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■■■「ケース39」■■■
(55点/サスペンス)

 児童専門の社会福祉士であるエミリーは、ある日、虐待を受けている疑いのあるリリーという10歳の少女を担当する事となる。

 リリーの自宅を訪問したエミリーは、両親の奇妙な態度に不審なものを感じて追加調査を行うが、そんな矢先にリリーが実の両親によってオーブンで焼き殺されそうになっているところを発見し、すんでのところで彼女を保護する事に成功する。

 エミリーはリリーのたっての希望で、里親が見つかるまで彼女を自宅で預かる事となるが、その直後から彼女の周りで不審な死亡事故や事件が多発するようになり、エミリーはやがてリリーに疑いを抱くようになっていく…



 福祉施設の女性が虐待を受けていた一人の少女を引き取る事となるが、その少女が実は…といった感じの、サスペンスホラー映画。

 先日にも視聴した「エスター」と同じような感じの、いわゆる『本当は怖い子供の話』みたいな感じの作品なんですが、「エスター」が正調のサスペンス映画だとしたらコチラは変則的というか『ちょっと反則なんじゃない?』って感じの作品ですね。

 ややネタバレになってしまいますが、非力な少女が他人を殺害する手段として『催眠術っぽいもの』を使うというアイデアは面白いですし、催眠術だけあってJホラーの「催眠」ばりに殺害のバリエーションも豊富で、絵的にもなかなか面白いんですが、なんと言うか『そのアイデアだけ』に頼り切ってしまった映画って感じで、他の部分が非常に『微妙な印象』のなのがちょっと…

 序盤の『両親が自分の娘を殺害しようとするまで』の展開はサスペンス的にも面白いのですが、中盤以降の展開がリアリティに乏しくてどうにも盛り上がりに欠けます。

 ヒロインや刑事が少女に疑いを抱くのも妙に早すぎる気がしますし、キャラクターの心理描写や感情の動きが今ひとつ上手く描ききれて居ない気がするんですよね。

 ストーリー展開やオチに関しても、『だから結局どういうことなんだよ?』って感じでどうにもスッキリしないですし、もうちょっと設定でハッタリを効かせてても良かった気がします。
 (『少女のせいで死んだ人間が既に何十人も居る』とかってのが途中で判明するとか…)

 逆に殺害シーンなんかはバリーエーションが豊富で『次はどういう手で来るのかな?』って感じで、なかなか面白いのですが…
 こちらにしても、リアリティのある怖さを描きたいのか、オカルト的な方向に持って行きたいのかが釈然とせずに、どうにも中途半端な印象を受けてしまうんですよね。

 この辺の方向性が、もっとハッキリとしていた方が面白い作品になったんでは無いかと思うので、ちょっと残念なところでした。


 総評としましては、『アイデアとしては面白い』し『総じて悪くは無い』んだけどストーリー的にもクオリティ的にも『どうにもスッキリとしないところの残る作品』っていった感じの一本ですね。

 全体的に『物足りない』ってだけで決して『ツマんない』って訳でも無いので、「催眠」とかが好きだった人ならば、話のネタとして観ておいても良いかもしれません。

 まあ、あまり細かい事を気にせずに『ノリだけで観るならそこそこ楽しめる作品』だと思いますので、こういった『怖い子供』系のジャンルが好きならば、チェックしておいても後悔はしないレベルの作品ではあると思いますよ。