NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「オーシャンズ・オデッセイ」(55点/生物パニック)

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■■■「オーシャンズ・オデッセイ」■■■
(55点/生物パニック)

 北海沿岸で謎の伝染病が発生、感染者は体内から粘液のようなものを吐いて死ぬという症状を示しており、医師のエヴァはそれが海からやってきた新種の生物によるものでは無いかと推測する。

 FEA(連邦環境庁)のクランツは、海洋生物学者のフィンに依頼し病原体の正体の調査を開始するが、病原体の発生源が海底油田である事を突き止めた彼らは油田掘削基地へと向かい、発生源の深海へと潜水艇で赴くが…



 海底から現れた未知の生物との接触によって人類が未曾有の危機にさらされるという、ドイツ製のSF風味の生物パニック映画。

 基本的には、いわゆる「アンドロメダ病原体…」のような『未知の病原体との接触によって人類が危機に陥る』という感じの、いわゆる病原体タイプの生物パニック映画ですね。

 SF風味の設定とかアイデアとかはなかなか面白くて、序盤のパニック発生~謎解きの流れなんかは良く出来ていると思うのですが、全体的にちょっと練り込み不足な印象を受ける作品です。

 『深海から出現した未知の生物が物凄い勢いで進化をしており、人類を脅かすような脅威となりつつある』という設定は凝ってて良い感じなのですが、オチまで観てしまうと『だから何なんだ?』って感じの終わり方で設定が殆ど活かされて無いんですよね。

 他にも未知の生物が『人類と似た遺伝子構造』を持っている事とか、石油を分解して増える事とか…本編でマトモに活かされておらず、どうにも消化不良な印象が強すぎます。

 ドラマパートに関しても『キャラクターの背景を深く描く事』でお話に深みを持たせたいのは分かるのですが、途中で死んじゃうチョイ役のキャラクターとかの背景まで矢鱈と細かく描く必要があったのかと…

 TVシリーズとか長編小説とかならそういう描き方をするのも分かるんですが、たかだか90分程度の尺の映画でそんなキャラの描き方はどう考えても無理がありますし…
 逆に主人公とヒロインとの恋愛要素とかはマトモに描かれて無いせいで、ラストで主人公とヒロインに唐突にくっ付かれても『おまえら、いつ恋愛してたんだよ!?』という感想しか浮かびません。

 なんというか、どうにも『尺の割き方』とか『力を入れるべきポイント』を間違ってしまった
映画
って印象です。

 この作品を作った人は『設定マニア』か何かで、SF設定にせよ人物設定にせよ『細かい設定を語るのが大好き』なんですかね?

 『シーンのテンポの良さ』や『シナリオの面白さ』は十分に及第点レベルですし、『映像表現の上手さ』もなかなか良いセンスをしているので、どうにも惜しすぎる印象です。

 もっと、映画として『観せる事』に注力して作られておれば非常に面白い作品になったかもしれないので、とにかく残念な作品でした。


 総評としましては、不満点ばかり挙げてしまいましたが、純粋に『SFパニック映画』としてはそこそこのレベルに達している、小粒ながらもなかなか面白い作品だと思います。

 消化不良気味な部分さえ気にしなければ普通に楽しめる作品だと思いますので、『未知の病原体もの』とかが好きな人であれば、とりあえず観ておいても損は無い一本ではないかと…

 本作はむしろ『前後編の3時間ぐらいの長編構成』であれば、かなり面白くなったんじゃないかと思うので、この監督さんには今後はそういう作品を撮って貰いたい印象かな?