■■■「アウトランダー」■■■
(65点/SFアクション:結構オススメ)
遥か宇宙の彼方から訪れた宇宙船が、8世紀の地球のノルウェーへと墜落する。
宇宙船の唯一の生き残りであるケイナンはバイキングに捕らえられ砦に監禁されるが、宇宙船に潜んでいた殺戮生命体である『モアウェン』が彼らの砦を襲撃し、多数の犠牲者を出すこととなる。
偶然にもバイキングの族長の命を救い彼らの信頼を得たケイナンは、彼らと協力しあって『モアウェン』を討伐するための作戦を練り始めるが…
宇宙から訪れた兵士がバイキングと協力して不死身の怪物と戦うという、SFアクション映画。
事前に全く話題にもならなかったビデオストレートの作品のようですが、なかなかどうして良く出来た『掘り出し物的な作品』でした。
『宇宙からやってきた戦士が地元民(バイキング)の信頼を得て英雄となり、一丸となって不死身の怪物と戦う』という設定としてはコテコテな感じのお話なのですが、世界観や美術デザイン、キャラクターの掘り下げ等がなかなか良く作られており、単なるベタなSFファンタジーで終わっていないのは良い部分ですね。
モンスターとの対決あり部族同士の合戦ありSFアクションあり…と、盛りだくさんの要素に加えて、主人公達のドラマの要素もキチンと組み込まれており、単純な脳筋アクションものかと思いきや、意外にも濃い内容のドラマに感心させられました。
ストーリーとしては設定は明確には提示されていませんが、北欧の英雄譚である「ベオウルフ」のグレンデル退治のエピソードをベースとしている感じですかね?
8世紀の北欧を舞台にしている事や、怪物として登場する『モアウェン』の鋼鉄の巨獣という感じのイメージや、怪物が親子連れである辺りからも何となく「ベオウルフ」っぽさを匂わせます。
モンスターのデザインは、ヒョウと機械のハイブリッドモンスターといった感じで、なかなかカッチョ良くて良い感じ。
SFファンであれば『鋼の装甲をまとったクァール』みたいな姿を想像すると分かりやすいかも?
戦闘シーンでもこの怪物がかなり良く動いてくれる上に、ムチのように尻尾をしならせて攻撃したりとなかなか芸達者で楽しませてくれます。
ただ惜しむらくは、この『モアウェン』の暴れるシーンで意外と短めで、特に序盤が矢鱈と小出しにされるので『ちょっと物足りなさを感じる部分があった』事が残念な部分かなぁ?
あとドラマ部分をシッカリと描き込んでいるせいもあって、尺が2時間弱とアクション映画としては長めの印象で、全体的にちょっと冗長な印象を受ける部分が多かったのは気になったかも?
総評としましては、B級アクション映画としてはかなり高いレベルでまとまった、『なかなかに良く出来た快作』と呼べるレベルの作品だと思います。
『SF+神話』といった感じの作品や英雄譚が好きであれば、なかなか楽しめる作品だと思いますので、そういう要素が好きであれば観ておいても損は無い一本だと言えるでしょう。
B級アクションの『掘り出し物的作品』を求めている人ならば十分に満足できる内容だと思いますので、そういうノリの映画を求めているならばチェックしておくべき作品だと思いますよ。