近未来、世界各地の12か所の上空に『超巨大な石碑のような宇宙船』が唐突に出現するという事件が発生。
言語学の一人者であるルイーズは、宇宙船の乗員である謎の知的生命体とコンタクトを取るために政府からの協力依頼を受け、科学者チームと協力して宇宙人たちの言語を解析し彼らとのコンタクトを試みる事となる。
やがて、簡単な単語から始まり少しづつ彼らの言語を解析していくルイーズたちだったが、ようとして真の目的が知れない宇宙人たちの訪問に各国の緊張は徐々に高まりつつあった…
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劇場にて「メッセージ」を観てまいりました。
世界各国の12か所に唐突に現れた巨大な石碑のような宇宙船とコンタクトを取るために、一人の女性言語学者が異星人との前代未聞のコミュニケーションに挑むという、いわゆるファーストコンタクトもののSFミステリ映画です。
(ポスターとかで公開されていつ巨大な『ばかうけ』っぽい形の宇宙船が登場する事が、最近ちょっと話題となっていました。)
お話としては『突如として世界各地に現れた巨大な宇宙船とコンタクトを取り、彼らの地球へと訪れた真の目的を探るために言語学者と科学者が奔走する』という感じのお話で、ジャンルとしてはいわゆる異星人とのファーストコンタクトを描いたハードSF系の作品という感じです。
エイリアンとのコンタクトを取る手段として『言語学者』を主人公に描くという切り口はいかにもSF的なコンセプトで面白く、SF映画としてはあまり他に無いタイプの個性的な内容になっていると思います。
主人公たちの科学的(本作の場合は言語学的だけど)な分析によって、少しずつ宇宙人の言語が解明されてコミュニケーションが進んでいくという姿は、もどかしいところもありながらもいかにも『ハードSF』という感じで、SF者であればなかなか楽しめる要素でしょう。
またミステリとしてもなかなか良く出来ており、作中で何度か提示される『謎』が終盤で一気に繋がってラストで解明されるという展開は、なかなかに痛快ですし、人間ドラマとしても色々と考えさせられる部分があって面白いです。
ただ『SF作品』として観ると面白い切り口の作品だとは思うのですが、エンターテイメントとして観ると色々と難点がある感じなのは残念なところ。
全体的にお話のテンポが非常にスローでどうにも冗長に感じる部分が多く、特に序盤の展開は遅すぎて観ていてちょっとイライラしました。
別にホラー映画じゃ無いんだから、冒頭で宇宙船や宇宙人の姿を出し惜しみしまくるのは何か意味があったのかと…
全体で2時間程の尺があるのですが、序盤をもうちょっとテンポ良く進めて80~90分程度にまとめてくれた方が良かった気がします。
全体で2時間程の尺があるのですが、序盤をもうちょっとテンポ良く進めて80~90分程度にまとめてくれた方が良かった気がします。
あと宇宙船を巡って各国の『政治的な緊張』とかが作中で描かれるのですが、この緊張状態が作中でも『TVの画面越し』ぐらいでしか描かれないため、全体的に緊張感が薄く盛り上がりに欠けるシーンが多いのも難点ですね。
終盤の謎解きは痛快ではあるのですがラストがアッサリしすぎで盛り上がりに欠ける感があったので、もうちょっとビジュアル的にも見どころのある展開の方が良かったんじゃないかと…
あとちょっとネタバレになるのですが…
地味で残念な部分はあるものの、時間の非可逆性とかタイムパラドックスとかSF的な解釈をしてみると色々と考察できて面白い部分も多いので、『SF者』向けの映画としては、なかなか良く出来た作品ではないかと思いましたよ。
総評としましては、『ちょっと物足りない部分もあるものの作品の切り口としてはなかなか面白いSF映画』という感じの一本ですね。
ハードSF系の作品が好きな人であれば割と楽しめる映画だと思いますので、その手のジャンルが好きで気になっているなら観に行ってみても良い作品という感じでしょう。
ただ大画面での迫力を楽しむようなノリの作品でもないので、急がないようであれば劇場まで行くかはお好みで…