NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「サベイランス」(60点/サスペンス)

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■■■「サベイランス」■■■
(60点/サスペンス)

 サンタ・フェの田舎町で凶悪な連続殺人が発生し、事件の調査に当たる事となったFBIの捜査官であるエリザベスとサムは、田舎町の警察に保護されている3人の目撃者へと事情聴取を行う事となる。

 目撃者は家族を殺された8歳の少女と、飲酒したうえにドラッグを使用していた麻薬中毒の女性と、同僚を目の前で殺されFBIへの露骨な反発感を示す地元警官という、何かと問題のありそうな3人の人物だった。

 各人を別々の部屋へと連れて行き、同時に現場の様子の事情聴取を行う彼らだったが、やがて3人の証言内容に微妙な『ズレ』が存在する事が判明し、やがて事態は意外な展開を見せていく…



 連続殺人の殺害現場に居合わせた3人の目撃者の証言を元に衝撃的な事件を描いていくという、ちょっと異色な構成のサスペンススリラー映画。

 ツインピークス」等でお馴染みのデヴィッド・リンチが製作し、その娘のジェニファー・リンチが監督した作品という事で話題となった本作ですが…

 とりあえず、鑑賞して一番最初に思ったのは『変態監督の娘は、やっぱり変態だった』って事ですかね?

 いやはや、流石にあの監督の娘だけあって『一筋縄では行かない作品』を撮りますわ。
 『矢鱈とエグい殺人現場の風景』とか『薄気味の悪い映像のインパクト』とか、異様な雰囲気の演出は父親からかなり受け継いでいるご様子です。

 ただまあ、父親のD・リンチほどに演出にキレは無いですし、あそこまで幻惑的な映像表現はしないようですが、同時にあれほど『訳の分からない作品』にはなって居ないため、まだ普通の人にも観易い内容になっていると言えるかも?

 演出の技法とかが父親ほどトンガって無く、お話もエンタテイメント寄りで分かり易いため、個人的には悪くない感じじゃないかとは思いました。

 …が、演出やら映像表現やらは良いのですが、お話に関してはぶっちゃけて言えば『酷い』のひと言。
 ツマんない話という訳じゃなくて、とにかく良くも悪くも『酷い』内容って感じ。

 確かに、お話は『意外な展開』といえば意外な展開なんですが、展開があんまりにも唐突すぎてサスペンスとして成立するかしないかもギリギリのレベル。

 何の伏線や前フリも無く突然そんな展開を見せられても、『なんじゃそりゃ!?』としか言いようが無いだろ…って感じの話なので、ハッキリ言って『本格的なサスペンス』を期待して観てた人はキレちゃうかもしれません。

 まあ、個人的には『こういう作品もアリかな?』とは思うのですが、父親の作品と同様に思いっきり『観る人を選ぶ作品』ではあるかもしれませんねぇ。

 ただ、その『突拍子もなさすぎる展開』を除けば、『嫌味たらしい演出』とか『趣味の悪い映像表現』(←共に誉め言葉)は良い感じですし、その他の部分も十分に及第点には達していると思うので、監督として悪くないレベルに達しているんじゃないでしょうか?

 いっそ多少理不尽でも許される、シチュエーションスリラーとかサイコホラー系の作品を撮ってくれれば、非常に面白い作品を撮る監督になりそうな気はしますが…


 総評としましては、個人的には割と楽しめた作品ではありましたが、『観る人によっては90点にも10点にも成り得る映画』って感じの作品ですね。
 (まあ、100点満点になるような映画では無いですから。(笑))

 ちょっと悪趣味なイロモノ系のサスペンス映画とかが観てみたいという人であれば、趣味さえ合えばそこそこ楽しめる作品だと思うので、そういう系列の作品が好きであれば、チェックしておいても損は無い一本でしょう。

 作品としてはデヴィッド・リンチがライト風味になったような作風』なので、D・リンチ監督の作品が好きな人であればネタとして観ておいても良いんじゃないでしょうか?