■■■「プレデター・パニック」■■■
(12点/モンスター)
とあるアメリカの片田舎の町で、ライオゲン・コーポレーションという会社が汚染物質を川へと不法投棄を行っていた。
生物学の教授であるラボン博士と、その元で川辺の水質調査をしていたバクスターらの学生たちは水質の異常な変化へと気付き、その原因を突き止めようと調査を行う事となる。
しかしその頃、川の近隣では『正体不明の怪物によって住民が襲撃される』という奇妙な事件が立て続けに発生していたのだった…
『遺伝操作物質の川への不法投棄』のせいで突然変異によって誕生した怪物が人間を襲うという、モンスターパニック映画。
B級ホラーファンの間では、悪名高いJVDの『ディープレッド』レーベルの新作です。
『ディープ・レッド』と言えば、リリースされる作品が『ことごとくZ級のクソ映画』という凄いレーベルで、ここに比べると天下の『アルバトロス・コア』ですら超優良企業と思えてしまう程の酷いレーベルな訳ですが…
本作も予想に違わず、それはもうとても『ひと言では言い表せないぐらいに酷い内容』でした。
というか『物凄く酷い』と分かってるなら借りてみるなよ…って感じなんですが、なんとなく今回は久々に『存外に酷い作品』を観てみたい気分だったんですよ。
(つか、私ですら普段は避けて通るようなこのレーベルを『好んで借りる人』が居るとは思えないので、どうやって採算を取ってるのか物凄く不思議なんだけど…)
で、肝心の内容に関してですが、タイトルに「プレデター・パニック」とか付いておりますが、当然ながら「プレデター」とは1ミクロンの繋がりも無い作品です。
お話の設定は、悪徳企業が汚染物質を川に投棄したせいで、近隣の生物が突然変異を起こして云々…といった、まあなんともベタベタな感じ。
怪物のデザインは、魚とリトルグレイを足して2で割ったみたいな外見の半魚人って感じなんですが、特撮番組どころか『バラエティ番組の着ぐるみモンスター』のレベルで、予算節約の為かシーンによっては『手だけ』とか『頭だけ』の着ぐるみで済ませてるシーンも多々あり。
ちなみにパッケージに描かれてるような『カッコ良さげなモンスター』は、本編には全く登場しません。
役者の方もいかにも三文芝居といった感じの演技で、登場人物は無能のアホばかりという『典型的なZ級映画的な展開』ですな。
というか、私はこの手の映画で『登場するキャラをアホばかりにする必要性』が良く分からないのですが、Z級ホラー映画ってそういうノリが異常に多いのは何でなんだろう?
内容がチープすぎるからソレを誤魔化す為に、せめて笑いを取ろうとしてるんだろうか…
(或いは『アホなキャラだと殺されても罪悪感が薄いから』とか?)
ストーリーに関しても『超展開にも程がある』というような展開の連発で、水質調査をしてる学生の一人が何の伏線も無く企業のスパイだったり、そのスパイと主人公が何の前振りもなく唐突に恋仲になってみたりと、『なんのこっちゃ?』としか言いようが無いようなストーリー。
オチも華麗な程の投げっぱなしっぷりで酷いものですが、ラスト付近で登場する『悪の科学者』が『半魚人にフリル付きエプロンを着せて従事させてる』のは、不覚にもちょっと笑ってしまいました。
あと、実写に加えて『アメコミ風のイラスト演出』を一部のカットでちょろっと挿入しているのですが、『爆発のシーン』や『自動車事故のシーン』といった金のかかりそうなシーンをイラストを挿入して誤魔化しているのは、なかなか低予算らしい上手い手法かと…
とまあそんな感じで『誉めるような要素』は皆無に等しい作品な訳ですが、下らないなりに『作品のテンポ』は良くて、かろうじて途中で『早送りボタン』を押さずに最後まで観れた辺りは、Z級作品としてはマダましな作品だと言えるのかも…
総評としましては、掛け値なしに『駄作だとしか言いようがない』ようなレベルのZ級ホラー映画です。
『ディープレッド』レーベルって事で、よっぽどの物好きで無ければ敢えて『見えてる地雷』を踏みに行く必要は無いとは思いますが、逆にこのレーベルの作品を観れば確実に『Z級の超駄作』を観る事が出来るので、『とにかく酷い映画』のネタを探している人ならばチェックしておく価値はあるかもしれません。
後はまあ、とことん『中身の無い映画』を観て軽くストレスを発散したいって人なら、分かってて観る分には『お好みでどうぞ』って感じでしょうか……