■■■「フライング・ジョーズ」■■■
(30点/モンスター)
『ワニ祭』を間近に控えて観光客で賑わうアチャファラヤ川周辺の湿地帯で猛獣に襲われたと思われる男の惨殺死体が発見される。
警察は地元で大量のワニを飼育している『ワニ料理店』から逃げ出したワニの仕業だと判断し、以前より警察に目を付けられていた料理店は営業停止にされてしまう。
しかし、事件の当日に沼地を泳ぐ奇妙なサメの姿を目撃していた料理店の娘のレイチェルは、店の無実を晴らすために真犯人と思われるサメの捜索を開始するが…
沼地に出没した人食いザメがアメリカの田舎町で『ワニ祭』に訪れた観光客を襲うという、モンスターパニック映画。
うーん、なんと言いますかひいき目にみても『何じゃコリャ?』としか言いようが無い感じの、普通にツマんないモンスター映画ですな。
まず、そもそも『タイトルに偽りアリ』と言いますか…
「フライング・ジョーズ」なんてタイトルが付いてる割には、実際には別にサメは空を飛びません。
人間を襲うシーンで2回ほど水中からジャンプするシーンがあるぐらいで、これなら言っても「ジャンピング・ジョーズ」が良いところ。
(そもそも原題は「SWAMP SHARK(沼ザメ)」ですし…)
もっと、「フライング・キラー」みたいに華麗にサメがフライングして人間を襲うような作品を期待してたのに、正直言ってガッカリです。
とまあ、タイトルへのツッコミは置いておくとしても、肝心の内容に関してもツッコミどころが満載というか『ツッコミどころしか無いような状態』なのは困り者。
まず「登場人物のキャラが良く立っている」のは本作の良い点と言えば良い点なのですが、主人公たちのキャラは『田舎町のワニ料理店を切り盛りしてきた兄妹と仲間たち』って感じで確かに良いキャラになっているのですが、他のキャラが物凄く性格が悪くて『いちいちイラッとする感じ』で、登場から2分ぐらいで『お前らはサメに食われる役だろ!!』ってのが分かるような状態。
しかも『食われる候補』が割と多いので、本編のストーリーは『食われる候補が順番に食われて行くのを待つ』という消化試合状態になっており、緊張感も意外性もクソも無いのは流石に考え物です。
沼にサメが出没した設定に関してもムチャクチャで、地元の保安官が『動物密輸業者』で『深海で発見された新種のサメを密輸してくる』って設定なのですが、そもそも深海艇を使わないと捕まえられないうえに世界で一匹しか発見されてないようなサメを、何故に地方の保安官如きが密輸出来るのかと…
更に『そのサメをウッカリ沼に逃がしてしまう』ってプロセスも無茶すぎるし、そもそも深海のサメがどうして淡水でも平気で生きてるのかも理由も全く不明。
また、このサメが『深海のサメなので水圧に耐える為に体が丈夫になった』という設定で、全身に甲羅のようなウロコが生えてるんだけど、そもそも別に世の中の深海魚って浅い海に住む魚よりも体が丈夫だなんて事は全く無くて(むしろ深海魚は水との比重を調整するために体内のアンモニアの濃度が高くて、肉がモロいのの方が多いだろ?)、まったくもって設定自体が無理がありすぎです。
(普通に『古代の甲冑魚の生き残り』とかって設定にしとけば良かったのに…)
肝心のサメの出番も意外と少なくてパニックシーンもショボ目なので正直言って見所に乏しいですし、ラストのサメの退治の仕方にしても『弾丸を弾くほど体が丈夫な生き物がその程度で倒せるか?』ってツッコミを入れたくなるような倒し方で、何かもう『どうするんだコレ』といった感じの内容。
敢えて楽しむ要素を見つけるとしたら、主人公の兄妹がなかなか良いキャラで『見ていて爽やかな気分になれる事』と、お話自体のテンポがそこそこ良くてあまりダレない事、あと本編にあまりにもツッコミどころが多すぎて『常にツッコミを入れていなければならないレベル』なので、途中で眠くならないという点ぐらいかなぁ?
総評としましては、正直言って誉める部分が見当たらない『微妙と以外に言いようが無い』ようなモンスター映画ですな。
流石に内容的には擁護出来る部分が少なすぎるため、本作をどういう人にオススメすれば良いのか分かりませんが、とりあえずツッコミを入れるのが大好きな人であれば『思う存分ツッコめる内容』だと思うので、ネタ映画として観てみるってのならアリかなぁ?
全体的にどうにも盛り上がりに欠ける、なんとも評価に困るような作品でしたよ…