■■■「インシディアス」■■■
(60点/オカルト)
夫のジョシュと3人の子供たちと共に新居へと引っ越してきたルネは、引っ越してきて間もなく勝手に部屋の荷物が移動していたり、誰も居ない筈の屋根裏部屋から音がしたり、赤ちゃん用のモニターのラジオから謎の声が聞こえたり…といった奇妙な現象に悩まされるようになる。
そんなある日、屋根裏で梯子から転落した息子のダルトンが原因不明の昏睡状態に陥ってしまうという事故が発生。
息子の看病をしつつ生活を送る彼女だったが、昏睡後も謎の現象は更にエスカレートしていき、あまりにも相次ぐ不気味な現象のために一家はこの家から引っ越す事を決意する。
しかし引っ越し後に現象が収まるかと思いきや、奇妙な現象は引き続いて発生し続け…
とある一家を相次いで襲う正体不明の怪現象の恐怖を描いた、オカルトサスペンス映画。
「ソウ」の監督と「パラノーマル・アクティビティ」の製作スタッフによって作られたという触れ込みの鳴り物入りのホラー映画ですが、ぶっちゃけどちらの作品ともベクトルがかなり違う内容なので、その辺りはあまり意識しないでも良い作品ですね。
お話の形式としては『果たして一家を襲う怪現象の正体は…』というような感じの展開のオカルトサスペンスなのですが、序盤の展開はぶっちゃけ微妙。
この手の映画は、何よりも『何か悪い事がが起こりそうな雰囲気』が大事だと思うのですが、この雰囲気作りがあまり良くないです。
序盤~中盤の展開が『怖い』というよりも、なんだか『ウソ臭い』としか言いようが無いような印象で、色々と怪奇現象が発生する割にはどうにも怖さが感じられません。
もしかしたら意図的にミスリードを狙った演出なのかもしれないですが、それにしてももうちょっと『怖がらせる』ような見せ方があっても良かった気がします。
特に中盤の『謎解き』にかけてのプロセスは『ネタでやってんのか?』とツッコミたくなるような展開で、正直言って演出の意図がイマイチ分からないレベル。
(後半の展開とのギャップを出す事でのインパクトを狙ってるのかもしれませんが…)
序盤の冗長な展開と合わせて、どうにも中盤まででテンションが下がってしまうのは構成として問題アリかと…
ただ、『謎解き』以降の後半からの流れはなかなか面白いです。
殆ど『超展開』と言う感じの急展開っぷりと、どことなくレトロでサイケデリック独特の雰囲気が相まって、なかなかに異様な世界観を作り出しているのは良い感じ。
ストーリーとかはコテコテですが、テンプレート的な『熱い展開』も悪くないです。
でもどうせなら、もうちょっと序盤からこの『異様な世界観』を前面に押し出して、スピーディに物語を展開させた方が面白かった気がするんですけどねぇ…
あとオチに関しても割とラストで展開が読めてしまうので、今ひとつパンチに欠けて『単に消化不良な話』になってしまっているのは、何と言うか残念な印象でした。
総評としましては、総じて『悪くは無い作品』なのですが今ひとつ『詰めが甘い』というか『センスが変わってる』というか…何となく『感性が特異で佳作になりきれなかった映画』という感じですね。
逆に、この『微妙に感性のズレた感じ』を個性として捕らえる事が出来れば、ハマる人にはハマる作品ではないかと思います。
部分部分で見ると『見るべき要素』はあると思うのですが、強くオススメするほど面白いかと言われると悩ましい印象。
まあ、その手のオカルトサスペンス系が好きな人であれば、そこそこ楽しめる作品だと思いますので、気になるならばチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。