NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「裏切りのサーカス」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「裏切りのサーカス」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 東西冷戦時代の英国。
 英国の諜報部門(サーカス)は、ターという人物から『ソ連の二重スパイが諜報部員のメンバーの中に居る』という密告の情報を受け取る。

 諜報部の責任者であるレイコン次官は事件を調査するに当たって、『外部の人間こそが適任』と考え、先日諜報部を引退したばかりのスマイリーという男性に調査の任務を依頼する。

 最初は引退した事から任務を断ろうとしたスマイリーだったが、彼と同時に引退し、その直後に急死した同僚のコントロールが『二重スパイの情報をつかんでいた』という事を知らされた事から、事件の調査への協力を決意。

 諜報部員のギラムと共に二重スパイをあぶりだすための作戦を開始するが…



 東西冷戦時代のイギリス諜報部に潜入した『二重スパイ』を見つけ出すためのエージェント達の頭脳戦を描いた、スパイもののサスペンス映画。

 「ぼくのエリ」のトーマス・アルフレッドソンの監督作品で、「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」という有名なスパイ小説を映画化した作品ですね。

 スパイ映画といっても「007」みたいなアクション的な要素のある作品ではなく、どちらかというと良く言えば『重厚』で悪く言えば『地味』な感じのお話ですね。

 お話の流れとしては、とあるいきさつから一人の引退したエージェントが諜報部に潜入している『二重スパイ』の調査を行う事になるんだけど、実はその事件の裏には主人公達の過去にまつわる秘密が関わっている事がだんだんと判明していき…と言う感じの内容。

 主人公や周辺の人物のキャラクターの掘り下げが物凄く深くて人間関係も矢鱈と複雑で、とにかく非常に重くて『いかにも本格スパイ小説』といった感じのお話ですね。

 お話は面白いのですが、重要な登場人物も多くて人間関係も複雑(それでなくても『二重スパイ』というややこしいテーマを扱った作品ですし…)なので、とにかく観ていて非常に難解な内容です。

 といってもメインのストーリーそのものにはそこまでの意地悪な難解さや捻った解釈をしないとならない要素は無いため大筋が理解できないというような事は無くて、徐々に明かされていく主人公たちの過去との関係や、主人公達の駆け引きによって少しづつ物語が核心へと近づいていく描写は、意外性がありつつも説得力のある内容で非常に面白いです。

 ただ、自分の理解力では1回観ただけでは今ひとつ脇役とかの人間関係とかが把握しきれずに、自分は最後まで『ぽっちゃり気味の少年』の立ち位置とかが理解できませんでしたよ…

 また、主人公達の過去とかがお話の流れに深く関わってくるところから、実際には『心理劇』なんかも深く描かれているのでしょうが、お話を追っかけるのが精一杯でその辺まで理解している余裕が無かったのは残念なところかも?
 主人公役のゲイリー・オールドマンの演技もすばらしいので、この辺はもう1回シッカリと映画を観るか、原作を読んで内容を補間してみたいところです。

 映像に関しても、「ぼくのエリ」の監督が撮っているだけあって絵的なセンスなんかも非常に良くて、淡々としながらも適度な緊張感のある雰囲気になっているのも良い感じ。

 ただ、頭を酷使させられる割には派手なシーンとかは一切無いので、欧州系の作品特有の『面白いんだけど途中で眠くなってしまう』という現象が起こりがちな映画ですので、観るときは万全な体調で挑むように注意が必要かも…
 (自分は1時間ぐらいのところで、一回寝落ちしてしまいましたよ…)


 総評としましては、色んな意味で『非常に本格的なスパイものサスペンス映画』といった感じの作品ですね。

 サスペンスとしては文句なしに良く出来た作品だと思いますし、東西冷戦時代のサスペンスネタとかに興味があれば間違いなく楽しめるレベルの一本だと言えるでしょう。
 (逆にその辺のネタに興味が無ければ、やや退屈さを感じるかも?)

 割と重い内容のお話ですので『息抜き』とかにお気軽に観るのは難しいところですが、その手の作品が好きであれば普通にオススメできる内容ですので、とりあえずチェックしておいても損は無い作品だと思いますよ。