■■■「クリープショー3」■■■
(45点/オムニバス)
■「リモコン」
女子高生のアリスは、近所に住む変人と噂されるデイトン教授の作ったという『万能リモコン』を手に入れる。
しかし、父親がそのリモコンを操作したところ彼女の回りでリモコンの操作に合わせて『世界』が入れ替わるような奇妙な現象が次々と起こり始め…
■「ラジオ」
警備員のジェリーは、いつも使っているラジオが故障した事から路上でホームレスらしき男から中古のラジオを購入する。
しかし、自宅でそのラジオを使ってみるとラジオから奇妙な女性の声が聞こえるようになり、その声は彼が『成功』するためのアドバイスを的確に指示した事から、彼はその声に従って行動するようになるが…
■「コールガール」
『連続殺人鬼』という裏の顔を持つコールガールのレイチェルは、その日も2人の人間を殺した後にヴィクターという名の青年からの指名を受ける。
指定された彼の家へと向かった彼女は、いつものように仕事の片手間に彼を殺害しようとするが…
■「教授の妻」
天才ながらも変人として知られるデイトン教授は、ある日、教え子のチャールズとジョンを招いて若くて美しい女性を自分の妻として紹介する。
デイトン教授の妻の行動に不自然なものを感じた彼らは、彼女を『きっと天才エンジニアである教授が発明したロボットに違いない』と考え、教授が留守の間に妻の『スイッチ』を探し出そうとするが…
■「ホーンテッドドッグ」
高慢で身勝手な性格の医師のファーウェルは、その成果が災いして裁判所の指示で街の無料診療所で診察を行わされる事となる。
彼は嫌々ながらも仕事をこなし続けるが、ある日から『彼のせいで亡くなった浮浪者の幽霊』の幻覚に悩まされるようになり…
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スティーブン・キング原作のホラーシリーズである「クリープショー」シリーズの第3弾にあたる、オムニバス方式の5編の短編ホラー映画。
シリーズの正統な続編で約20年ぶりの新作に当たる作品なのですが、そもそもシリーズの内容に繋がりがある訳では無いので、あんまりシリーズという印象は受けないかも?
一応、キングの原作をベースにしたりアメコミ風の演出を取り入れたりという部分は引き継いでは居るっぽいのでその辺は続編らしいのですが、ジョージ・A・ロメロが監督したオムニバスホラーの佳作だった1作目と比べると正直言って『厳しいところの多い作品』ですね…
まあでも大御所であるロメロの作品と比べると確かに劣るのは仕方ないのですが、『全く良い部分が無い映画』かと言いますとそういう訳でもない印象。
ノリとしては、全体的にホラーというよりは『ブラックユーモアの効いたコメディ』といったテイストで、テンポの良さとアメコミ風の演出も加えて小気味良くサクっと見られるのは良いですね。
全体的な作品のテイストやセンスは悪くなくて、4話目の『やり過ぎスプラッタ的なノリ』とかバカバカしくて笑える部分や面白い部分もそれなりに有ります。
また全5話が共通した世界をベースに作られてて、ラストのオチに繋がっていくという演出も悪くは無い印象。
ただ全体的に物凄く薄味でオチもアッサリしすぎのため、『オチてるんだか何だか分からない話』が多くてどうにも盛り上がりに欠けるのは辛いところ。
派手な要素も殆ど無くて、もともとB級だった1~2作目に比べても『あからさまに低予算なのが分かってしまう』ぐらいの超低予算っぷりも厳しいですねぇ。
ブラックなノリ自体は悪くなかったので、もうちょっと全体的に見せ場やメリハリがあればもっと観れる作品になったと思うんですけどね…
あと、1~2の辺りの作品は『ああ、キングの小説にこんな短編あったなぁ』って感じの話が多かったのですが、今回は『こんな短編あったっけ?』って感じてしまうレベルだったので、ぶっちゃけ『「クリープショー」というタイトルを付けなかった方が正当に評価されたんじゃ?』と感じてしまったのは自分だけですかね?
(「クリープショー」の名を冠した事で、逆にキングやシリーズのファンの反感を買ってしまったんじゃないかという気が…)
総評としましては、純粋に『オムニバス形式の短編ホラー集』として観るならば、それなりに楽しめなくは無いかな…というようなレベルの作品だと言えるでしょう。
ただ、『20年ぶりに作られた「クリープショー」の続編』として観ると非常に不満点が多くて、シリーズ新作として期待して鑑賞すると肩透かしを食らってしまうかも?
(内容的にも、あんまり『キングっぽさ』も感じられないですしね…)
まあシリーズとして考えずに、単純に『ブラックなノリでちょっと笑えるような短編ホラー映画』を楽しみたいのでしたら、それなりに楽しめる一本だと思いますので、そういうノリの作品を求めているのであればチェックしておいても良いかもしれませんよ。