NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「V/H/S ファイナル・インパクト」(55点/オムニバス)

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■■■「V/H/S ファイナル・インパクト」■■■
(55点/オムニバス)

 ビデオの撮影が趣味の無職の青年ケヴィンは、ある日、近所でアイスクリーム販売車とパトカーのカーチェイスが繰り広げられている事を知った事から、映像を動画サイトに投稿して有名になるチャンスと考えて、恋人の制止を振り切ってカーチェイスの追跡撮影を開始する。

 しかし撮影を続けていくうちに、この特ダネ映像をスマホ等の画面で観ている近所の住民たちが次々とおかしくなって行っている事に気付き、遂には彼の恋人であるアイリスも唐突に鼻から血を流して奇妙な症状を示しはじめ…



 若手のホラー監督たちが競作形式で製作した、POV形式の競作オムニバスホラー映画である「V/H/S」シリーズ第3弾。

 POVのファウンド・フッテージタイプの作品を集めた連作形式の短編ホラーシリーズである本作ですが、1~2作目がそこそこ人気があったのか遂に3作目が製作されたようです。

 ただ、今回はビデオが大量に置かれた『例の家』も登場しておらず、ちょっとV/H/Sシリーズという印象は薄くなった感じかも?(まあ前作までとの世界観的な繋がりをほのめかすような設定ではありますけど…)

 今回は4本の短編形式という事ですので、とりあえず各エピソードの感想なんか…

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■『Vicious Circles』
 冒頭でストーリーを説明した、本作の本編にあたる作品。

 カーチェイスを追いかけるスピード感のある映像はなかなか良い感じだけど、各エピソードの幕間でちょっとづつ話が進行していく感じなのに加えて、設定にいまひとつ釈然としない部分が多いため、全体的に何が起こっているのか良く分かりません。

 『シリーズの起点となった「例の家」にあったみたいな呪いのビデオの映像がネットに流出して、映像を観た人間が呪われていく…』みたいな流れだとは思うんですが、もうちょっと分かりやすい表現やシリーズとの関連性を明確に示す描写があっても良かったかも?

■「Dante The Great」
 売れないマジシャンのダンテは、ある日、不思議な『魔術の力』を持ったマントを手に入れた事から、マントのパワーで一躍大人気マジシャンとして超有名人となる。
 しかしマントの力を発揮し続けるためには、生贄として誰かの命を捧げ続けないとならないと知った彼は…

 『魔法のマントのお陰で超パワーを手に入れた男性が、そのパワーのお陰で人生を狂わせて行く』という感じのお話。

 トワイライトゾーン」的なノリのストーリーが単純明快で分かりやすく、また彼を逮捕しようとする警察の特殊部隊を相手に大立ち回りを繰り広げるような見せ場となるシーンもあったりしますし、主人公のキャラクターも良く描き込まれていて短編ながらも良く出来ています。

 特撮のレベルとかもそこそこ頑張ってる感じで、本作の4本のなかでは一番面白かったです。
 このレベルで全編が作られていればなぁ…

■Parallel Monsters
 自分の世界から並行世界(パラレルワールド)へと繋がる扉を開く装置の開発に成功したアルフォンソは、並行世界のもう一人の自分と15分だけ交代してお互いの世界を探検する事を提案する。

 鏡のように左右対称になった世界へと侵入した彼は、ほどなく、その世界が自分の世界とは全く異なる恐るべき場所だと気付くが…

 『並行世界に住む自分と15分だけ入れ替わる実験を行った科学者が、並行世界で恐るべき体験をする』というSF風味のホラー作品。

 自分の世界と殆ど違わない並行世界かと思い気軽に冒険に出たところ、実は価値観から何から何まで全く異なる世界で思わぬピンチに陥ってしまい…という設定やアイデアは非常に面白く短時間で非常に上手くまとめていると思います。

 ただお話自体は面白かったんですが、モンスターの表現がチープすぎて非常に安っぽい感じになってしまってたのは残念な部分かなぁ?
 そこさえもっとシッカリとしてたら、もっと良い感じになってたと思うんですが…
 でも、このエピソードもそこそこオススメ。

■Bonestorm
 スケボーでのスタントや様々なチャレンジの撮影に挑戦するスケボー少年たちは、撮影のためにメキシコにある人の殆ど立ち入らない下水処理場跡を訪れる。

 地面に奇妙な魔方陣のようなものがかかれた場所に奇妙なものを感じつつも撮影をはじめた彼らだったが、その場所に唐突に出現したガイコツのメイクをしたカルト集団の襲撃を受け…

 スケボー少年たちが町外れの廃墟で正体不明のカルト集団体の襲撃を受けるという、スラッシャー系のホラー作品。

 殆どストーリーらしいストーリーは無くて『若者たちがガイコツ軍団と戦っているだけ』みたいな感じのお話です。

 バイオレンスな描写や無駄にイキオイがあるのは割と良い感じなのですが、ホントにそれだけでキャラクターやらバックボーンやらが全く分からないので、ちょっとグテグテすぎて盛り上がりに欠けるかなぁ…

 主人公たちにしてもカルト集団にしても、もうちょっとバックボーンを感じさせるような設定があっても良かったかも?

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 といった感じの4篇のお話でしたが、4本中の2本がそこそこ当たりと言える程度の完成度だったので、いままでのシリーズの中では一番面白かったかも?

 「例の家」から離れたせいで、いま一つシリーズものとしての印象が薄くなってしまったので、今後もシリーズとして続けるつもりなら、もうちょっと設定を確立して欲しい部分はあるかなぁ?
 あの家の設定は割と面白かったと思うので、お話があの家を離れてしまったのはちょっと残念でしたよ…


 総評としましては、ちょっと安っぽい部分はあるものの『意外と普通に楽しめるオムニバス形式の短編ホラー集』といった感じの作品です。

 いままでのシリーズと比べても一番良く出来ていたと思うので、シリーズを観てきた人ならば本作もチェックしておいても損は無いでしょう。

 強くオススメする程の内容では無いですが、小粒ながらもなかなかアイデアの盛り込まれた作品が多いので、気になってるのであれば暇つぶしに観るには良い感じの一本(4本?)だと思いますよ。