NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「宇宙人王さんとの遭遇」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「宇宙人王さんとの遭遇」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 中国語の通訳を生業とするガイアは、ある日、イタリアの政府組織から緊急の用件として中国語の同時通訳を依頼される。

 あまりに急な依頼や『目隠しをして目的地に向かう』という奇妙な対応に戸惑いながらも現場へと向かった彼女は、厳重に警備された建物の一室で、イカのような姿をして中国語を話す『王(ワン)』と名乗る宇宙人と対面させられる。

 突然に事態に衝撃を受けつつも何とか通訳の職務を果たす彼女だったが、アクマで紳士的な態度を取り続ける王さんに対して、彼の言葉を全く信じずに頭ごなしに疑ってかかろうとする政府の人間の態度に、徐々に不信感を募らせていくようになり…



 地球に訪れた中国語を話す奇妙なイカ型宇宙人と、通訳を依頼された一人の女性の運命を巡る、SFサスペンス映画。

 タイトルやパッケージからして『コメディ的な内容』を予想してしまいそうな作品ですが、実際の内容の方は社会派的な印象も受けるような『シリアスなSFサスペンス映画』です。

 そもそも、『宇宙人の王(ワン)さんって何だよ?』って話なんですが、一応、これは人間が発音するための通名的な呼び名で、宇宙人が中国語を話すのは『世界中で一番多くの人間に使われている言葉だから』という設定は何となく納得。

 ただ実際のテーマとしては、西洋人の『表情が読めずに何を考えているのかが分かりづらい東洋人』への不信や、このところ国力を伸ばして世界中に影響を及ぼしている中国の脅威への風刺なんかも含まれていそうな感じです。

 お話の中身としては、アクマで『人類との友好のため』と主張している王さんの『地球に着た本当の目的は何なのか?』といった部分や、逆に『頭ごなしに王さんの言葉を否定して、拷問までしようとする政府の人間の目的と正体は?』といった辺りがメインの流れとなる感じですね。

 作品のアイデアとしてはなかなか面白いとは思うのですが、ストーリーの流れ的に『どこかの施設の一室でひたすら宇宙人が尋問されている状況』が延々と続くので、基本的には会話劇が中心で映画としてはやや冗長な印象。

 尋問の内容も、政府の人間が宇宙人の態度に不信感をむき出しにするのに対して王さんは紳士的な受け答えをするというだけの、ひたすら同じことの繰り返しなので途中でちょっとダレてしまいます。

 途中で真相に迫るような手がかりが提示されるとか状況が二転三転するとか、もうちょっと盛り上がる部分が有っても良かったと思うんですけどね…

 ただ、紳士的といいつつも『微妙にうさん臭い印象』の漂う王さんに対して政府が不信感を抱くのも分かるのですが、だからといって発言を頭ごなしに否定していきなり拷問まで行おうとするのは、流石にちょっと違和感を感じたかなぁ?

 そんな事をしたら、宇宙人の『真の目的』に関わらず『別の問題』が発生してしまうんじゃないかと…

 またオチの付け方はなかなか上手いと思いましたが、終盤までどうにも盛り上がる要素が少なすぎる事や、上記の微妙にツッコミどころのある内容に対して『語られてない部分』やらがあって、観終わった後にちょっとだけモニョモニョとした気分が残るあたりは、ちょっともったい無さを感じる部分でしたよ。


 総評としましては、『ちょっと変り種』な印象ながらもSFサスペンス映画としては
『小粒ながらもなかなか良く出来た作品』
だと思います。

 ちょっと社会風刺やブラックなノリの入ったSFサスペンスとかが好きな人ならば、普通に楽しめる作品だと思うので、そういうノリが好きであれば観ておいて損は無い一本だと言えるでしょう。
 (ノリ的には「第9地区」とかと少し似てる感じかな…)

 『ふざけた感じのタイトル』に騙されがちですが内容の方は割とシリアスな感じのお話ですので、コメディ的な作品と間違えて借りてしまわないように注意が必要ですよ。