NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「388」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「388」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 郊外で平穏に暮らしていたジェームズとエイミーの夫妻は、ある日を境に、セットした覚えのない時間に目覚ましがセットされていたり、身に覚えのないCDが車の中に置かれていたりといった、奇妙な現象に遭遇するようになる。

 相次ぐ奇妙な現象に苛立ちを覚えたジェームズは、ついつい妻に辛く当たってしまうが、その日から妻のエイミーが『頭を整理したい』という書き置きを残したまま行方不明に…

 最初は以前に酔った際に妻に暴力をふるった過去持つ彼に対する『肉親たちからの制裁』かと考えていたが、誰も居ない筈の場所から物音がしたり、無言の電話がかかってきたりといった奇妙な現象は引き続き起こり続けたた事から、次第に彼は『自分に恨みを持つ何者かが復讐しようとしているのではないか』と考え、情緒不安定な状態に陥っていってしまうのだった…



 正体不明の『何者か』の執拗な嫌がらせによって一人の男が追い詰められていく姿を描いた、「CUBE」のヴィンチェンゾ・ナタリ監督によるサスペンススリラー映画。

 いわゆる正体不明のストーカーの恐怖を描いたような感じの作品なのですが、なんというかちょっと風変わりな感じの作品ですね…

 何が風変わりかって、お話の視点が最初から最後まで一貫して『夫婦をストーキングしている何者か』の視点で描かれているという点。

 このストーカーが、家の中のいたるから始まって車の中や会社の座席にまで盗撮用の隠しカメラを仕掛けているという粘着っぷりで、『何がいったいお前をそこまで駆り立てるんだ…』というぐらいの異常性でとにかく気味が悪いです。

 お話の中身の方は、盗撮用のカメラから送られてくる映像を継ぎはぎしたものという、いわゆる「パラノーマルアクティビティ」みたいな感じの方式で、変則型のPOVといった印象を受ける作品ですね。

 ただ殆どが定点カメラの映像を継ぎはぎしただけなのに、ストーリーがキチンと筋が一本とおっており、主人公や周辺の登場人物のキャラクターなんかもシッカリと描かれているのは非常に上手いところ。

 内容の方は『怖い』というよりもひたすら『薄気味悪いお話』といった感じで、ストーカーの嫌がらせも『微妙に歌詞を改変したCDを置いていく』とか『飼い猫をこっそり別のネコにすり替える』とか実害以上に精神的にくる感じのイヤらしいものが多くて、なかなかにセンスの良さを感じさせます。

 『ストーカー視点』という制約のせいでラストまで謎解きが遅々として進まずに、途中でこれといった事件も起こらないため中盤は少し冗長な部分も感じますが、ドラマがシッカリしているので以外と退屈せずに観れるのは良い感じですね。

 ネタバレになってしまうのであまり詳しい感想は書けませんが、ラストの物凄い『後味の悪さ』と『不気味さ』を感じさせるオチの付け方もなかなか秀逸で、個人的には非常に楽しめた作品でしたよ。


 総評としましては、ちょっと変り種ながらも『なかなか良くできたPOVタイプのサスペンス映画』だと思います。

 いかにも低予算な雰囲気は拭えませんし派手さは無い映画ですが、重くなりすぎずにサクッと楽しむ(まあ楽しむって言ってもネガティブな内容なんですが…)には非常に良い感じの作品だと思いますし、この手のジャンルが好きならば十分に満足できる一本だと言えるでしょう。

 とりあえず薄気味悪い感じのサスペンスとかが好きであれば、なかなかオススメの作品だと思いますよ。
 (以前にあった「ミッシング・テープ」とかってPOV形式のサスペンス映画も、ホントはこんな感じの内容のが撮りたかったんだろうなぁ…という気がしました。(笑))