NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ノーベル殺人事件」(60点/サスペンス)

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■■■「ノーベル殺人事件」■■■
(60点/サスペンス)

 ストックホルムの市庁舎で行われていたノーベル賞の受賞パーティの会場で、ノーベル医学賞受賞者であるイスラエルの医師とノーベル賞選考委員会の代表が暗殺されるという事件が発生する。

 受賞会場を取材中だった新聞記者のアニカは、現場で犯人らしき女性を目撃していた事から警察の事情聴取を受けるが、事件調査の守秘義務から鉗口令を敷かれてしまい現場の一番側に居ながら事件の記事が書けないという情況に陥ってしまう。

 その翌日に『事件はアルカイダのテロ組織によるもの』という発表がなされるが、警察の発表に疑問を感じた彼女は、真相を暴き特ダネをものにするために独自に事件の調査を開始するが…



 とある新聞記者がノーベル賞の受賞会場で発生した謎の暗殺事件の真相を追ううちに驚くべき事実へと辿りつくという、サスペンス・ミステリー映画。

 「ドラゴン・タトゥーの女」以来、ちょっと注目されているスウェーデン製のミステリー映画ですが、本作も本国で『ミレニアム』シリーズ(「ドラゴン・タトゥーの女」から始まる一連のシリーズ)の映画を製作したスタッフによって作られたサスペンス映画だそうです。

 お話の中身の方は、何と言うか『非常にオーソドックスなミステリー』という感じの作品ですね。

 『ミレニアム』シリーズのようなやや奇をてらった感じの設定は無いですが、シンプルな謎解き要素とテンポの良い展開で、主人公が堅実に手がかりを集めながら少しづつ真実へと近づいていくという構成は非常に良くできています。

 謎解きに関してはネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、キチンとした伏線を張りつつ『難解すぎないレベルでの意外性のある展開』で、特にコレといった不整合も無く『ピシッと筋の通った説得力のあるストーリー』が組み立てられているのはなかなか良い感じです。

 ひと昔前に流行ったアガサ・クリスティ原作のミステリー映画とかみたいな、『分かりやすく無駄の無い構成のミステリー映画』が好きな人であれば、ガッツリとハマる事が出来る作品でしょう。

 ただシンプルゆえに派手さはあまりなくトンガった要素も無いので、エンターテイメント的な盛り上がりを期待している人にはちょっと物足りなさを感じる作品かも?

 またストーリーはシッカリと描けているものの、主人公等のキャラクターの描き込みが薄くて、今ひとつ主人公に個性が感じられずに魅力的なキャラになっていないのは残念なところ。

 原作では割とその辺をシッカリと描いてそうな雰囲気があるのですが、映画版では『主人公の子供が苛められるエピソード』とか全く脈絡がなくて意味不明な感じになってしまっているのが惜しいです。

 あと主人公が刑事と顔見知りっぽい雰囲気があったり、何かと視聴者に説明されていない背景がありそうな感じなのですが、もともと原作はシリーズものだったりするのかな?

 本作を単品で楽しむうえではあまり必要の無い部分ではあるのですが、その辺が微妙に説明不足でモヤっとした気持ちになったのは、ちょっと気になりましたよ…


 総評としましては、変化球的な奇をてらったような要素は全く無いですがシンプルに『普通に良くできた王道サスペンス・ミステリー映画』だと言えるでしょう。

 シンプル故にあまり強く推せるような要素は無いのですが、ミステリーが好きな人ならばごくごく普通に楽しめるような作品だと思いますので、その手の映画が好きであればチェックしておいても損は無いんじゃないでしょうか?

 最近は捻った感じのサスペンスが流行っており、こういったオールドスタイルのオーソドックスなミステリー映画は逆に稀少な存在とも言えるので、そういう方向の作品が好きな人ならばオススメの一本ですよ。