■■■「ゾンビ・フィーバー」■■■
(55点/モンスター)
犬の療法士であるイヴァンは、ある日、友人のアレックスからの誘いで海辺で開かれるパーティに参加する事となる。
しかしそんな矢先、宇宙から飛来した『正体不明のカブセル』を調査していた研究所で、カプセルに密閉されていた人間をゾンビ化させるウィルスが漏洩するという事故が発生。
パーティ会場へとゾンビの大群が押し寄せて、会場は大パニックになってしまう。
憧れの女性であるナターリアらと共に、なんとかゾンビの大群から逃げ延びたアレックスたちは、危機一髪のところを研究所の警備員で元軍人の男に助けられて近くのリゾートホテルへと逃げ込むが…
パーティ会場でゾンビの群れに襲撃された若者たちの脱出劇を描いた、ロシア製のゾンビものアクションホラー映画。
日本でも人気のあったアーティストである「t.A.T.u」のユーリャが主演しているという事ですが、その割にはあまり話題にもなっていない感じですね…
まあ、それはさておき肝心の映画の中身の方はというと、割とオーソドックスな感じのアクションホラー映画というイメージの作品です。
全体的にコメディ的なノリが強めで、主人公もちょっとトボけた感じの性格ですし、周りのキャラも割とフザけてるみたいな登場人物が多めの印象。
マトモなストーリーらしいストーリーも無くて、ひたすら『血飛沫をドバドバ飛ばしながらゾンビをハデになぎ倒して行く』みたいな感じの作品です。
アクション重視の『やり過ぎスプラッタホラー』系の作品なので基本的にテンポは良いのですが、特にコレといったストーリー上の目標とかが無いために、どうにも展開が冗長なんですよね…
一応は主人公の成長のお話っぽいのですが、主人公の初期設定が『パニック障害を持ってるうえに極度に優柔不断でネガティブ』というキャラクターなのに加えて、周りの友達とかも『ゾンビに襲われてるのに酔っ払ってるかラリってるようなアホ』ばかり…
結構イラっとするキャラが多いお陰で観ててもあまり感情移入できずに、むしろ『もうお前らさっさとゾンビに食われちまえよ!』とか考えてしまいたくなり、ちょっとイライラしてしまうのは困りもの。
(ヒロインであるt.A.T.uのユーリャだけは、割とマトモなキャラなのが救いか?)
特撮なんかのレベルはそこそこで、ゾンビの大群を描くのにCGを使ったりとか割とお金がかかっている印象。
またアクションシーンも豊富で見所も多く、カラテ教室からやってきて空手で戦う『カラテゾンビ』とか、プールサイドに出現する『水着ゾンビ軍団』とかちょっと笑ってしまうようなインパクトのあるシーンも多くて、エンターテイメントとして楽しませようという努力をしているのは良い感じです。
ただ前述のとおりお話にあまりメリハリが無くて全体に冗長で、中盤ぐらいで観ててちょっとダレてしまいがちなのは惜しい部分かも?
ラストの展開とかは結構熱くて良い感じだったので、あのぐらいのテンションで中盤辺りから突っ走ってくれてればなぁ…
ラストのオチはちょっと蛇足っぽい気もしましたが、クレムリン宮殿をバックに主人公たちが立つラストシーンは、何かのオマージュなのかな?
自分にはネタが良く分かりませんでしたが…
総評としましては、強くプッシュするほどでは無いものの『それなりに楽しめるアクションホラー映画』って感じの作品ですね。
ゾンビをバッタバッタとなぎ倒すタイプのアクションホラーが好きであれば、過剰な期待をしなければ普通に楽しめる一本だと言えるでしょう。
t.A.T.uのユーリャが出演していたりと、何かとネタ的にも楽しめる要素のある作品ではありますので、そういう『話のネタ的なホラー映画』を求めているのであれば、とりあえずチェックしておいても損は無いタイトルだと思いますよ。