■■■「生体兵器 アトミック ジョーズ」■■■
(50点/生物パニック)
海洋研究所に勤務する研究者であるコリンズ夫妻は、ホオジロザメを遺伝子改良し高い知能を与え、訓練と脳に電気信号を送る事でコントロールを行う事によって対テロ用の防衛機構として利用するという『ブルー・デーモン・プロジェクト』に参画していた。
しかしそんなある日、管理ミスにより研究所から6匹のホオジロザメが逃走。
住民への被害を心配し付近の沿岸警備隊に連絡を入れようとするコリンズ夫妻だが、軍はこの事実を隠蔽しようとし、逆にコリンズ博士の身柄を拘束してしまう。
なんとか脱走した彼らは、サメのコントロールを取り戻す事で住民への被害を食い止めようとするが…
大仰なタイトルの割にB級というか、大仰なタイトルからしてB級というか、とにかく物凄くB級な感じの生物パニックホラー映画。
以前に「死神ジョーズ」とか「ジュラシックジョーズ」とかって映画もありましたが、今度は「アトミックジョーズ」、直訳すると「原子力鮫(顎)」ですよ!!
ちなみにどの辺がアトミックなのかと言うと、ネタバレになっちゃうので、それについては割愛します。
…っていうか、『タイトルでネタバレしてる映画』ってのもある意味スゴいですね。
この映画、生物パニック映画といいながらも、ちょっとセンスが変な感じで、コメディ色が強めの内容となっています。
いやむしろこの映画は、コメディ色が強いというか『根本的に何かが変』なのですよ。
メチャメチャ尊大な態度でメチャメチャ成金趣味なんだけど、物凄い小男の研究所の所長とか、常に葉巻を咥えた軍国主義を絵に描いたような外見で登場した瞬間から『あんたが黒幕だろ!!』って分かるような海軍の将軍とか、どう考えても必要以上に濃すぎる登場人物達。
研究施設も軍の秘密研究をしてる割りには、壁紙とかに魚の絵が描いてあったり、そこらじゅうに魚のオモチャが飾ってあったりで妙にファンシーだったり、オマケにヒロインは『石鹸を踏んで足を滑らせて海に落下して鮫に食われそうになる』という、いまどきギャグマンガでも有り得ないようなお約束なミスを繰り出してくれたり…
住民の命とか掛かってて大変な事になってるくせに、緊張感が欠落しているというか…
もう、『ありえないだろ、ソレは!?』って言うような突っ込みどころが満載です。
この笑わせようとしているのかマジメに変になってしまっているのか?…という、微妙なハズしっぷりが珍妙なテイストを醸し出しており、普通のホラーなら絶対に被害者が出るようなシーンが何事も無くスルーされちゃったり、特撮がショボくてどう観ても手抜きにしか見えないようなシーンがあったりしても、『まあ、変な映画だし良いか…』とかって許せてしまうのが不思議な所。
ある意味、視聴者の心の隙を付く物凄い高等なテクニックを使った映画なのかもしれません。
(↑ごめん、ちょっと嘘ついた!!)
こんな映画ですから、『隣の部屋で核爆弾が爆発してもピンピンしてる登場人物』が居ても、別段驚きもしませんとも!!
(あ、ネタバレしちゃった!!(笑))
総評としましては、凄いツマんないし物凄いダメダメなB級(っていうかC級)映画なんだけど、なんとなく『まあ、いっか?』と許せてしまうような映画です。
ぶっちゃけ言っちゃえば、いわゆる『愛すべきバカ映画』といった所。
ツマんない事や駄作な事は大前提として、そういうノリを許せる人ならば、まあ観ておいても良いかもしれません。
マジにツッコミどころ満載なバカ映画なので、許せる為にはB級ホラーに対するかなり寛容な心が必要ですが…。
個人的には、通常とは違った意味で『思いのほか楽しめた映画』でしたよ。(笑)