■■■「モンスター・オブ・レジェンド」■■■
(40点/モンスター)
アメリカ南部の田舎町で、100年前に30人の男女を殺戮した『かかし』の怒りを鎮めるために行われる『かかし祭り』。
高校教師アーロンは自分のクラスの問題のある5人の生徒たちを更生させるために、元恋人のクリステンの管理するトウモロコシ畑で『かかし祭り』の準備を手伝わせるという作業に奉仕させようとしていた。
しかし作業を始めようとした矢先に、女生徒の一人がトウモロコシ畑の中から正体不明の何者かに引きずられて拉致されそうになるという事件が発生。
恐怖を感じた彼らはとっさに小屋の中へと逃げ込んで立てこもるが、窓から仲間の一人であるニッキが無残な死体となって投げ込まれる。
逃げる最中にわずかに見た怪物の姿から伝説の『殺人カカシ』が蘇ったのだと考えた彼らは、なんとかしてカカシから逃れるために農場から脱出しようとするが…
アメリカの都市伝説の一つである『殺人カカシ』が奉仕活動中の高校生たちを襲うという、モンスターホラー映画。
なんでもアメリカの都市伝説を題材としたホラー映画のようですが、ぶっちゃけ自分はこの『殺人カカシ』の伝説についてはあまり良く知りません。
ただ「案山子男」とかみたいに『殺人カカシ』を題材にしたホラーは他にもあるので、実際にそういう都市伝説があるのではないかと思われます。
まあ『殺人カカシ』の伝説はさておくとして、本作のお話の方は何と言いますか『ごく普通のモンスターホラー映画』としか言いようが無いようなお話ですね。
本作の何が特徴かというと『ストーリーらしいストーリーが全く存在しない』と言う事でしょうか…
設定らしい設定も無ければストーリーらしいストーリーも無く、とにかく『突然現れたモンスターから主人公たちがひたすら逃げ回る』というソレだけのお話です。
いやいや『B級映画にたいしたストーリーが無いのなんていつもの事だし、大げさに言ってるんだろ?』と思われるかもしれませんが、本作は本気でストーリーらしいストーリーが存在しないんです。
したがってツッコミどころも殆ど無くて、ストーリーに対する感想として何も書く事が無いレベルなんですよ。
本作の良い点を挙げるとしたら、とにかくスピーディでテンポが良いという事。
序盤の『キャラクターが一通り出揃った直後』からいきなり怪物が出し惜しみ無く襲撃してきて、それ以降は殆ど出ずっぱりの状態。
ひたすら『異様にしつこく追跡してくる怪物』からひたすら逃げ続けているだけなので、退屈している暇もありません。
ただ、テンポが良いからといって面白いかと言われると正直言って微妙。
とにかく、お話がマトモに存在しないせいでキャラクターの描き込みが物凄く浅い。
描き込みがあまりにも浅く印象が薄いせいで感情移入もクソも無くて、『割とサクサクと登場人物が殺されていく』のですが序盤の辺りとか本気で誰が死んだんだか分からなくなるようなレベル。
あまりにも淡々と登場人物が殺されていくだけなので、緊張感や恐怖感も殆どありません。
怪物もそこまで魅力的という訳でも無く、『殺人カカシ』という割には単なる『ツタ人間』みたいな造型で、デザインにもいま一つ面白味が無いんですよね。
犠牲者の殺し方も凝ったものは殆ど無くてアッサリしすぎで盛り上がらないシーンが多いですし、出番が物凄く多い割にはなんとも印象に残らない怪物という感じ…
ただ唯一の怪物の個性として『恐ろしいぐらいの不死身っぷり』というのがあって、銃で撃とうが車で轢こうが燃やそうがバラバラにしようが、次のシーンになると何事も無かったかのように復活してくるので『こんな怪物をどうやって倒すんだ?』と思って期待しつつ観ていたのですが…
ラストで、とてもじゃないけど怪物が倒せたとは思えないような情況でまさかの投げっ放しオチというガッカリっぷり。
また、本作の唯一の謎解き的な要素として『何故かヒロインの一族が怪物に執拗に狙われる』ってのがあるのですがそれに対する謎解きも全く無くて、オチも含めてここまでのストーリーや伏線が全て意味の無かった事になるような盛大なうっちゃりっぷりに、逆にちょっとビビってしまいましたよ…
割と本気で観終わった瞬間に『えっ、それで終わり!?』とツッコミを入れたくなった映画でした。
総評としましては、他の全ての要素が全く無い『イキオイとテンポの良さだけのB級モンスター映画』といった感じの一本ですね。
私も確かに『B級映画にはイキオイが大事だ』とは思うのですが、本作には流石に『イキオイだけでは埋められないものがある』という事を思い知らされた感じでしたよ。
あまりオススメできる内容では無いですが、ある意味で『頭を空っぽにして全く何も考えずに観れる映画』ですので、暇で暇でしょうがないような人が何かの片手間に鑑賞する程度であればちょうど良い作品かもしれませんよ…