（５５点／サスペンス）
デザインの会社に勤めるマジメで気難しい性格のポールは、
その性格ゆえにストレスを溜めがちながらも、妻や娘たちと一緒に幸せな生活を送っていた。
しかしそんなある日、日課の夜のジョギングに出かけた彼は、不審な車から現れた正体不明の男から襲撃を受け、『自分を捕まえられなければ娘達を殺す』という脅迫を受ける。
彼はなんとかして犯人に追いつこうと懸命に追いかけつつ、犯人がポールに対して強い恨みを抱いていた事から、彼は自分の同僚が犯人なのでは無いかと疑いを抱くが…
夜のジョギングに出かけた男性が正体不明の襲撃者の攻撃を受けるという、サスペンススリラー映画。
最初にタイトルを聞いた時に、過去にシュワちゃんが主演していた「バトルランナー」って映画の原題が「ランニングマン」なので、『もしかして俺の知らない間にバトルランナーがリメイクされてて、ダイナモとかファイアーボールの活躍が再びスクリーンで観れるのか！？』と期待したのですが、当たり前のように「バトルランナー」とは全く関係の無いサイコサスペンス風味のスリラー映画でした。
お話の内容としては、『あるマジメな男が夜のジョギングに出かけたところを唐突に謎の男から襲撃を受ける』みたいな導入で、『走っている主人公が回想する形でお話の背景や設定が徐々に明らかになっていく』という感じの流れなのですが、お話の構成自体は割と良く出来ていると思います。
『マジメすぎる性格ゆえにストレスを溜めやすい』という主人公のキャラクターも良く描かれていますし、主人公を襲った『謎の襲撃者の正体』とか『妻が浮気をしているんじゃないか』と疑心暗鬼になっているんだけど『その真相は…』みたいな謎解きの流れがなかなか良く出来ており、謎解き系のサスペンスとしての構成は割と秀逸な印象。
ただ構成は良く出来ているんだけど、本作が『映画として面白いか？』と言われると微妙なところなんですよねぇ…
タイトルを見るとお話のメインは主人公と襲撃者との追跡劇っぽいのですが、この追跡劇がスピード感や緊張感が無くて、ハッキリ言ってあんまり面白くありません。
むしろ、リアルタイムの『追いかけっこ』よりも回想シーンでの『主人公の心理劇をメインとしたサイコサスペンス』がメインという感じなので、テンポがいまひとつ良く無くて観ていてちょっとダレてしまう感じがあるんですよ。
主人公がピンチに陥るようなシーンとかも殆ど無くて、どうにも全体的にダラダラしたした雰囲気なので、アクマでタイトルどおりの『追跡劇』をメインのストーリーとして描くのであれば、もうちょっと追跡劇の描写の方にも力を入れて欲しかったです。
また主人公の背景の人間関係やら心理描写やらは非常に丁寧に描かれているのですが、割と序盤でオチが読めてしまって先の展開が予想できてしまうのも残念なところかも？
あと、ラストの矢鱈と唐突で投げっぱなしな終わり方も賛否あるところじゃ無いかと思いました。
総評としましては、『ちょっと物足りない部分もあるものの、それなりに良く出来たサイコサスペンス映画』って感じかなぁ？
パッケージとかから想像するような追跡劇みたいなノリを期待してると肩透かしを食らうかもしれませんが、構成やら脚本やらは悪くは無かったですので、気になっているのであればチェックしてみても良いかもしれません。
個人的には不満もあるものの、それなりに楽しめた一本でした。
