■■■「クラウン」■■■
(55点/モンスター)
息子の誕生日パーティーに手配していたクラウン(ピエロ)がトラブルで来られなくなった事を知った父のケントは、不動産として売り出す予定だった古い家の倉庫で偶然見つけたクラウンの衣装を自らがまとって、パーティをお祝いする事となる。
しかしパーティ翌日にまるで衣装が体に貼りついたようになって、カッターやノコギリで切ろうとしてさえも衣装を脱ぐ事が出来なくなっていることに気付く。
異常事態の原因を調べるために衣装の元々の持ち主を探し、衣装の持ち主の弟だと名乗る男の元を訪ねた彼は、彼の着ている衣装はただの『クラウン』ではなく『クロイン』という名前の悪魔の魂が宿った呪われた衣装で、このまま着ているとやがて彼自身の肉体が『クロイン』に変化してしまうという恐るべき事実を知らされるのだった…
古びたクラウンの衣装を着る事になった男が悪魔『クロイン』の呪いによって怪物へと変化していくという、モンスターホラー映画。
いわゆる『殺人ピエロ』を題材にしたホラー映画ですが、単純に殺人鬼のお話ではなくて『ピエロの正体が実は悪魔だった』という感じの設定のお話ですね。
ストーリーとしては『とある男が古びたピエロの衣装を着たところ、脱げなくなったうえに徐々に肉体が悪魔へと変化していく』みたいな感じの流れなのですが、序盤~中盤の展開が主人公がピエロの格好をしてるせいもあってか、いかんせん危機感が感じられません。
お話の流れ的にもあんまり緊張感が無いシーンが長々と続いてどうにも冗長な感じなので、この辺はもうちょっとどうにかならんかったかなぁ…と言ったところ。
でも後半の謎解きが始まってからの展開は割と面白くて、そこそこ盛り上がるシーンとか残虐シーンなんかも出てきますし、お話のテンポも良くなってなかなかに良い感じ。
特にゲームセンターでの襲撃シーンとかは、不気味な雰囲気の演出もあいまって、なかなかインパクトがあって良かったです。
ただ惜しむらくは、襲撃シーンでモンスターに襲われるのが主人公たちと殆ど無関係な垢の他人ばかりなので、お話的にいま一歩の盛り上がりに欠けるんですよねぇ。
この辺は、もうちょっと犠牲者に親近感を沸かせるなりして、緊張感や恐怖感を煽るような演出が欲しかったところです。
また終盤は先の読めない展開は良いのですが、展開が読めないと同時にモンスターもヒロインも何をやりたいのか良くわからないグテグテ感があったので、その辺はもうちょっとシッカリと心理描写とかを描いて欲しかった気も…
あとモンスターがそこまでピエロっぽくなくて『怖いピエロを観たい人にはちょっと物足りなさがあるかも?』ってのも、ちょっと難点かも?
総評としましては、アイデアも内容も悪くは無いんだけど『いま一歩物足りない印象を受けるモンスターホラー映画』って感じでした。
作品としてツマんなくは無いもののそこまで印象に残るような内容でも無いので、オススメ出来るほどかと言われると微妙なところかなぁ?
まあ特に期待をせずに観たらそれなりに面白かったってレベルの作品なので、『TVとかで放映された際に何気なく観たら、意外と楽しめてお得感があって良いかも?』って感じの一本じゃないかと思いますよ。