■■■「ネスト」■■■
(60点/サスペンス:結構オススメ)
とある2人の姉妹がクラスアパートで、心にトラウマを持つ姉のモンセは、妹をたった一人で育ててきた苦労もあって心を病んで、『自分のアパートから一歩も外に出ることが出来ない』という症状に悩まされていた。
自宅で服の仕立てをしながら生活していた彼女だったが、そんなある日、玄関の前に階段から転げ落ちて足を折ったカルロスと名乗る男性を発見した彼女は、勇気を奮って彼を自宅に運び込んで看病を始めるが、次第に彼の事に惹かれていくようになり…
心を病んだ姉と妹の二人の姉妹が暮らすアパートに足を折った男性が運び込まれた事から思わぬトラブルへと発展していくという、サイコサスペンス映画。
ホラー好きの人であれば、タイトルを聞くとかつてロジャー・コーマンの奥さんが製作した人食いゴキブリ軍団が登場する「ザ・ネスト」って映画を思い出す人も居るかもしれませんが、本作は別にそんなキワモノモンスター映画とは関係なくて、いわゆる密室型のサイコサスペンスって感じの作品ですね。
パッケージに『「エスター」を凌ぐ衝撃のラスト』とかってあおり文句が書かれているのでどんな衝撃的な内容かと思っていたのですが、確かに意外性はありましたが「エスター」ほどにインパクトのある凝った設定でも無くて、なんというか肩透かしな印象。
(と言うか、いい加減にパッケージに『衝撃のラスト』とかって書いてネタバレするのは止めて欲しいんですが…)
お話としては『トラウマを持ち自宅から出る事の出来ないうえに男性恐怖症の姉が、一人の怪我をした男性を助けた事から予想外の事件へと発展していく』という感じの展開で、監禁型スリラーという感じの展開はちょっとだけ「ミザリー」を彷彿(ほうふつ)とさせる部分も…
お話の序盤から、2人の姉妹に物凄く不自然な点があり『何か秘密がありそう』ってのは匂わせられてるのですが、謎の提示の仕方とかお話のプロットとかはセンスが良くてなかなか面白いですね。
色々と何種類かの謎解きが並行して描かれており、先の読めない展開を予想させるような仕込みが随所になされているので、シチュエーションスリラーのような閉鎖的な環境なのに全く中だるみしないで観られるのは上手いです。
姉が徐々に精神を病んでいって、取り返しのつかない領域に踏み込んでいくという流れの描写も丁寧にかかれてて良い感じ。
ただ姉の狂気描写は絵的にそこまでインパクトが無い感じだったので、もうちょっと鬼気迫るような描写や演技があっても良かったかも?
全体的に面白かったのですが気になった点としては、意味ありげに出てきた設定で回収されないもの(男性と婚約者の関係とか…)があったりした事かなぁ?
あと、ややネタバレになってしまいますが、ラストシーンで妹がある人物の耳元でつぶやいたセリフは、何で最後まで秘密にされていたのか自分には良く分かりませんでしたよ…
(理解できなかったけど2重のどんでん返しになってたりするんでしょうか?)
でもまあ一番の不満は、パッケージに書かれてた『衝撃のラスト』が言うほど衝撃的でも無くて、ちょっと肩透かしを食らって物足りなさを感じた部分かも?
総評としましては、独特のテイストながらも『なかなか良く出来た佳作レベルのサイコサスペンス映画』って感じの作品でした。
やや鬱なノリなので人は選びそうな作品ではありますが、サイコサスペンスというジャンルが好きな人であれば普通に楽しめる内容だと思いますよ。
変に期待を煽りすぎる宣伝文句とかを気にしなければ普通に面白い作品でしたので、気になるようであればチェックしておいて損は無い一本だと言えるでしょう。