芸能事務所に所属して5年目の若手女優の沙羅は、人気演出家の新作舞台である「鮮血の呼び声」という作品のオーディションに合格し、脇役で出演する事となる。
舞台は、同じ事務所の売れっ子女優である葵が主演する事となるが、稽古を始めてすぐに小道具担当の女性が変死したうえに、芝居の稽古を続ける途中で葵が建物の屋上から転落し、意識不明の重体となるという奇妙な事件があいついで発生。
急遽、代役で主役を演じる事となった沙羅だったが、この一連の奇妙の事件に小道具の一つである不気味な『球体関節人形』が関わっているのではないかと疑いを抱くようになり…
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劇場にて「劇場霊」を観てまいりました。
うーん、なんというか普通…というか、ちょっと微妙な単なるアイドル主演系のB級ホラーって感じの作品でしたよ。
っていうか「女優霊」全く関係ないやんけ!!
いや、内容的に全く関係なさそうな事は予告とかの辺りである程度は予想は付いてたんだけど、もうちょっと「女優霊」のテイストを受け継いだ感じの話なのかと思ってたのですが、テイストも全く異なるというホントに全然別の作品です。
お話としては『とある劇場で演劇の舞台に出演する事になった少女が、小道具の一つである『人形』の呪いによって恐るべき事件に巻き込まれていく…』みたいな感じのお話。
「女優霊」では『子供の頃にTVで観た内容を良く覚えていないホラー映画の再放送』という、オッサン世代なら誰もが持っているであろう原体験をトラウマとして使う事で恐怖を演出していた中田監督ですが…
本作では『不気味なマネキン人形』(実際には球体関節人形)というコレまたオッサン世代のトラウマに触れそうなネタを持ってくるあたりの構成はなかなか上手いです。
本作では『不気味なマネキン人形』(実際には球体関節人形)というコレまたオッサン世代のトラウマに触れそうなネタを持ってくるあたりの構成はなかなか上手いです。
また、この人形が何もする前から『絶対この人形ヤバいわ、生命宿ってるわ!!』って感じのデザインで、最高にビジュアル的な怖さを感じさせてくてるのは流石と言うところ…
なのですが、ただぶっちゃけて言ってしまえばホントに『人形が不気味』というだけの映画なんですよね。
序盤からそれなりにホラー要素はあるものの、恐怖演出がイマイチで全体的に盛り上がりに欠ける内容。
ストーリーもそこまで凝った作りな訳でも無く、お話の核心に触れるまでの展開が結構長いうえにダラダラしており、肝心の謎解きの方も特に意外性や面白い要素がある訳でもありません。
あとキャラクターに関しても、主人公とか相方がキャラとしてそこまで魅力的に描かれている訳でも無いので(まあ島崎遥香は可愛いんですけど)ダレがちな部分が多くて、どうにも序盤~中盤の展開が冗長さを感じてしまいます。
終盤の『呪いの人形』が本気を出して辺りからの展開はそこそこ面白いんですが、人形の襲撃シーンや主人公との対決シーンに特にコレといった捻りが無いのも残念なところ。
また個人的に一番期待ハズレだった部分としては、「女優霊」では視聴者の幼少期のトラウマに基づいた『訳の分からないものへの怖さ』を上手く活用していたのに対して、本作は最初から恐怖の対象が実体のある『呪いの人形』とハッキリ分かってしまっているので、想像の余地があまり無くて怖さがそこまで感じられないんですよね…
まあ『「女優霊」とは関係ない話だから!』って言われるとそのとおりなのですが、こんな連想させるようなタイトルが付いてるとやっぱり同じようなテイストを期待してしまいますし…
あと、タイトルに「劇場霊」と銘打ってる割には、劇場という舞台設定があんまり効果的に使われてなくて『人形の話』に終始してしまっているのもなんか肩透かしな感じでしたよ。
総評としましては、良くも悪くも『人気アイドルを使った普通のB級Jホラー映画』って感じの作品ですね。
そこまで酷くも無いけど、たいして怖くも無いし面白くも無いという感じで、もっとパンチの効いた作品を期待していた割には何だか期待はずれも良いところでしたよ。
まあ基本的にアイドルものですので、ぱるるのファンとかであればとりあえず観ておいても良いとは思いますが、いつもの中田監督のクオリティを期待してると肩透かしを食らわされてしまうとも思いますので、そちらに期待するなら『ビデオでも十分』って感じの一本かなぁ?