■■■「シャークトパス VS 狼鯨」■■■
(60点/モンスター)
アメリカ軍によって作り出された生物兵器シャークトパスの生き残りがドミニカ共和国に出現。
地元の小型船の船長のレイはシャークトパスと遭遇した行きがかりから、ブードゥーの首長から借金のカタに『シャークトパスの心臓』を取ってくることを命令される。
そんな矢先、遺伝子工学者でマッドサイエンティストのラインハルト博士は、とある野球選手の遺伝子治療の実験中に事故からサメと狼の遺伝子を持った怪物『ホエールウルフ』を生み出す事に成功。
制御不能の2匹の怪物は、お互いの力を誇示するかのように街中で激突を開始し…
サメとタコのハイブリッドモンスターである『シャークトパス』を題材としたモンスター映画のシリーズ第3弾。
『バラクーダ+翼竜』を合わせた『プテラクーダ』と対決した前作に続いて、本作では『シャチ+狼(+人間)』を合わせた『ホエールウルフ』という新たな怪物が登場してシャークトパスと対決します。
もともとかなりトンデモ設定なお話ですが、今回はコメディ方面にかなり振り切れている感じで、1作目のような正統派のモンスター映画の面影は殆どありませんが、ここまでシリーズを重ねてお馬鹿映画のノリが強くなってきた事を考えるとまあまあ正しい舵取りかな?
ただギャグ方面に振り切れたせいか、ストーリーは今まで以上のシリーズ最高峰にグテグテで突っ込みどころが満載。
主人公がたいした理由も無く怪物退治に狩り出されたり、ホエールウルフの誕生のエピソードが物凄く適当だったり、怪物2匹が大暴れしてるのに対応に警官2人ぐらいしか動いてなかったり、街の人たちは平然と買い物してたり、ブードゥー魔術でシャークトパスを操ろうとする悪役が登場したり、『意味が分からんわ!!』と言いたくなるような展開が満載。
ただまあグテグテながらも全体的にテンポが良いお話に加えて、ところどころに入る下らないギャグやブラックユーモアがなかなか良い味を出しており、軽快に楽しめる内容となっているのは良い感じです。
新モンスターの『ホエールウルフ』は、シャチの要素が薄めのデザインなせいで『恐竜っぽい肌質の巨大狼』にしか見えないのは残念ですが、犬っぽい動作やアクションが妙に可愛かったりと、なかなか良いキャラクターをしています。
また今回は陸生動物がメインのベースのためシャークトパスとの対決の殆どが地上戦闘になっているせいで、2匹の怪物の戦闘シーンがそこそこ見応えのあるものになっているのは良い点と言えるでしょう。
ただ難を上げるなら前述のとおりストーリーが非常にグテグテで、ところどころで何がやりたいんだか良く分からない流れのシーンがあったり、あまりにもリアリティが無さ過ぎて怪物の襲撃シーンでも緊張感が全く感じられなかったりする辺りは、ちょっと残念な部分かなぁ?
ラストもアッサリしすぎで今ひとつ盛り上がりきらない感じでしたし、オチにはもうひと捻り欲しかった感じかも…
総評としましては、ツッコミどころは多いものの『なかなかに良く出来たお馬鹿系モンスター映画』って感じの一本です。
逆に1作目みたいなシリアス寄りのモンスターパニック的なノリを求めていると、ちょっとおふざけが過ぎる内容でガッカリしてしまうかも?
本作に対して『お馬鹿なノリ』を期待して観るぶんには十分に期待に沿える内容となっており、みんなで一緒に笑いながら観たりする非常に向いている作品だと思いますので、そういうノリの作品を楽しみたい人にはオススメの映画だと思いますよ。